'18年9月16日 乾徳山 靴慣らし登山②

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⛰️先週の武甲山に続き、今週は乾徳山へ行ってきました。2週続けてのモンベルアルパインクルーザー2500の靴慣らし登山です。

 

乾徳山日本二百名山にも数えられる山梨の秀峰。標高は2,031mで、山頂周辺の巨岩登りが有名な山です。山域としては、奥秩父の前衛といったところでしょうか。実は以前から登りたいと憧れていた山でして、縦走部でも一度企画したのですが、電車とバスでの日帰りはちょっと厳しいかなということで実現しませんでした。

 

さて、どんな山行となったでしょうか。以下、ご一読頂けましたら幸いです。

 

(前日)徳和へ

ついに乾徳山に行くことにした。NHK BS の「日本百名山」の乾徳山の回は、ビデオに撮って5回は観たぞ。理由は山頂直下の岩登りだ。大きな垂直にも見える岩をよじ登って山頂に立つシーンが何度観ても俺の心を揺さぶる。高所恐怖症のくせに。そう、いつか槍ヶ岳の頂きに立つために、乾徳山は超えなければいけない山なのだ!多分。

 

9月15日~17日の三連休、土曜日の夜8時に自宅を出発。高速代を節約するために下道で秩父の市街から山あいを抜けて、乾徳山登山の前線基地である徳和の無料駐車場に着いたのが11時半だった。夜の徳和駐車場にはすでに5台ほどの車が停まっていた。全部で30台くらいかな、停められるのは。

 

夜の峠道を走り続けてさすがに疲れた。いつもなら後部座席と荷台をフルフラットにして仮眠をとるのだが、それも面倒になってそのまま後部座席に足を曲げて横になった。冷えてきたので、コールマンの寝袋を広げてくるまった。

 

(当日)山頂へ

翌朝は5時に目が覚めた。けど眠い、また寝る。次に6時に目が覚めたがまだ眠い。7時でやっと起き出した。

 

外の様子を伺うために車を出た。予想通り朝7時の時点で駐車場は一杯になっている。その後も次々に車がやって来ては出ていった。この先の林道を登山口の方に行くと10台くらい停められるところがあったはずだから、みんなそこへ向かうのだろう。そこも埋まったらどうするのかな。

f:id:arakabu625:20180919130224j:image駐車場あたり

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週末に乾徳山に車で行くのはやっぱり前泊が正解かもしれない。駐車場の近くの公園にあるトイレで用を済ませ顔を洗って、今日が2度目となるアルパインクルーザー2500に足を入れた。

 

準備を整えて7時45分に徳和を出発。コースタイムは登り4時間、下り3時間。昼食や休憩を入れて7時間半といったところか。初めての山に一人で登るときは普段よりもテンションが上がる。それは緊張感だったり、ワクワク感だったり。

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今日は平地の最高気温が28℃くらいの予報。昨日までの雨は上がっていたが、空は分厚い雲に覆われたままだ。眺望は期待しないことにしよう。雨が上がっただけでも御の字だ。

 

ウェアはミレーのあみあみノースリーブの上にユニクロ半袖Tシャツだけ。ウィンドブレーカーをリュックにくくりつけたが、結局下山まで着ることはなかった。

 

徳和渓谷沿いをしばらく歩き、登山口に到着。

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植林帯を登る。この前の武甲山と同じで登りは全く問題ない。両足の小指も痛くなる気配はゼロだ。さて、7時間の歩きでどうなるかだなぁ。

f:id:arakabu625:20180919132539j:image快調

 

ルートは国師ケ原を中心に8の字を描いて出発地の徳和に戻る、乾徳山では最もメジャーなルートをとった。単純なピストンにならないルートが取れるのは嬉しい限り。あとで気がついたが、後半に連続する岩登りを、下りルートと共用するのはちょっと無理かもな。だから8の字ルートが作られたのかもしれない。

 

途中2ヶ所の水場を通過した。一つ目が銀晶水で、ガイドブックには枯れてることが多いと書かれていたが、昨日までの雨のお陰か十分な水量だった。ここはスルー。辺りがカラ松や広葉樹に囲まれはじめてきた道をしばらく登り、霧が深くなってきたことに気がついた頃、遠くから沢の水音が聞こえてきた。二つ目の水場、錦晶水だった。ここで冷たい水を頂く。

f:id:arakabu625:20180919133104j:image針葉樹と広葉樹が共生する

f:id:arakabu625:20180919133602j:imageいつの間にか霧が深くなっていた

f:id:arakabu625:20180919133643j:image9:22錦晶水

 

ほどなくして、8の字ルートの中心となる国師ケ原に到着。

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あたりは綺麗な白樺の森が広がっていた。

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ここまで2時間弱。疲れもなかったのでそのまま進む。そうすると、30分ほどで開けた草原のような所に出た。目印となる月見岩がでーんと鎮座していたが、あいにくのガスで眺望もないため月見岩に登っている人もいなかった。

f:id:arakabu625:20180919135555j:image月見岩

 

このあたり一帯の草原を扇平(おおぎだいら)と呼ぶのだが、その由来は扇子をひっくり返したように裾野を広げた富士山の絶景が見られるからだとNHK百名山でガイドが説明していた。今日はこんな感じ、どこまでもガスっている。やっぱり眺望はあきらめた。

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扇平を過ぎると登山道はまた樹林帯に変わった。さあ、ここから山頂までの1時間余りの登りが乾徳山のハイライトだ。山頂直下のラスボス・鳳岩まで岩場が続く。

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f:id:arakabu625:20180919143144j:image名前のない鎖場が続く

f:id:arakabu625:20180919143237j:image髭剃り岩。これは向こう側を覗くだけ

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f:id:arakabu625:20180919143345j:imageカミナリ岩。

 

山行ブログにもよく出てくるカミナリ岩。見ての通り手がかりや足がかりは多いが、鎖が二段になって連続し、そこそこの高度感があって俺は恐かった💦しかし、ここを登りきった後に思わぬご褒美が待っていた。


f:id:arakabu625:20180919184720j:image雲海と富士山と

 

「うわっ、これは…」

まさかカミナリ岩のてっぺんにこんな景色が待っているとは思わなかった。俺の先に登っていた同年輩らしき登山者と凄い凄いと言い合った。体から溢れてしまいそうな感動を覚えると、人はその感動を誰かと共有したくてたまらなくなるようだ。

 

ここはどれくらいの高度なんだろう。いつの間にか雲を抜けて、雲の上に出てたんだ。

 

まだまだ岩場は続く。

カミナリ岩の次の鎖場は名前のない岩場だったが、ご覧の通り日陰になっているので、前日までに染み込んだ雨がまだ岩の表面をたっぷりと濡らしていた。そのせいでかなり滑りやすい。それほど高くなかったので足を滑らせながらでも登ることができたが、雨の岩登りはとても危険だということをインプットすることができた。

f:id:arakabu625:20180919201930j:image足が滑る。危ない

 

岩が作り出す魅力的な風景を写真に納め、ふと顔をあげるとついに乾徳山の山頂が見えてきた。目を凝らしてみると、頂上直下の岩に人が貼り付いていて、それを上から見下ろしている姿も見える。
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f:id:arakabu625:20180919203254j:imageついに乾徳山山頂の姿が見えた

 

来た来た、ついにラスボスだ。急いで山道を行くと、最後の岩場の前には7~8人の順番待ちができていて、岩に貼り付いて悪戦苦闘している女性をみんなで見上げていた。

f:id:arakabu625:20180919204259j:image最後の岩登り

 

カミナリ岩のてっぺんで感動を分かち合ったおじさんが俺の後ろに並んで、「垂直だと思ってたけど、割りと傾斜があるみたいで良かった」と言っていた。


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f:id:arakabu625:20180919224904j:image近付いてきた

f:id:arakabu625:20180919224943j:image次は俺だ~💧

 

下を見ない。三点支持。この二つだけを自分に言い聞かせて鳳岩に取り付いた。実は、この前の北岳以降、見よう見まねで取り組んできた三点支持が少し自分のものになってきたような手応えがあった。鎖はあくまでも補助として使い、基本は手がかりや足場をきちんと確保して登る。この鳳岩もそれほど鎖に頼ることなくスムーズに登れた気がする。下さえ見なければなんとかなるのか、俺の高所恐怖症。

 

話は少し逸れるが、これまでに登った鎖場で一番の難所だったのは、伊豆ヶ岳(奥武蔵)の山頂直下にある男坂という岩場だ。甚だローカルなところだが、実は一度目に登ったときは恐くて迂回路を行った。それが悔しくて、その男坂を登るためだけにもう一度行った。今度は無事にクリアできたのだが、その時は両手で力任せに鎖を掴み、腕力だけでがむしゃらに登って手の甲を岩で擦りむいてしまった。俺と同じく高所恐怖症のちかちゃんから、「絶対下を見ちゃダメだよ😁」とラインで釘を刺されていたが、岩に貼り付いている間中そのちかちゃんの言葉が俺の恐怖心を倍増させていたことを思い出す。あの伊豆ヶ岳・男坂から俺もずいぶん成長したな~というお話だ。

 

話を元に戻す。ついに山頂にたどり着いた。高度感が薄れる場所まで進んで、やっと周りを見渡す余裕もできた。雲の上、青空の下に富士山が見える。うん、絶景だ!

f:id:arakabu625:20180919233010j:image山頂

 

俺の後に続いて岩をよじ登って来た例のおじさんとお互いに写真を撮りあった。

f:id:arakabu625:20180919233407j:image11:19

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360度の景色を堪能し、しばし達成感を味わったあと、アミノバイタルゼリーとミニ羊羮を腹に入れて下山を開始。登ってきたのと反対側から岩場を2回ほど梯子で下り、樹林帯に入っていく。途中で振り返ると乾徳山の岩の山頂が見えた。なんとまあ岩だらけの山頂であることか。

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そういえば靴の様子だが、下りに入って両足の親指のつま先に痛みが出てきた。けれど、爪が当たっているわけではないみたい。靴の中で親指を踏ん張る際に、爪の生え際が引っ張られて痛みが出るのかもしれないと思ったがよくわからない。もしそうであれば、甲や足首辺りのフィッティングを高めて、足が前にずれにくくするしかないだろう。それと、左の小指に痛みが出ていた。

 

下りのルートも所々に岩が露出した滑りやすい道が多く、決して楽な行程ではなかったが、それより何よりルートファインディングに手こずることが何度もあった。ピンクのテープが見つからず、踏み跡もはっきりしない。何度か後戻りするはめに陥ったが、他の人のブログを読んでもみんな同じようなことを書いていた。

f:id:arakabu625:20180920070910j:image下りも急坂が続く

f:id:arakabu625:20180920071602j:imageくらい、っていうアバウト感がいい

 

2時間かからずに国師ケ原まで下ってきた。無人の避難小屋である高原ヒュッテに到着。ここは以前は営業小屋だったらしい。外観だけでなく、中もきれいだった。

f:id:arakabu625:20180920071402j:image13:14高原ヒュッテ

f:id:arakabu625:20180920071755j:image内部の様子

f:id:arakabu625:20180920071832j:imageデッキで遅めの昼食

 

ここ国師ケ原からは道満尾根というルートで出発地の徳和まで下る。コースタイムで1時間半ほどだ。下り用にあらためて靴紐をきつめに結び直して歩き始めた。

 

しばらくは林道を進み、登山道に入る。大平牧場方面の分岐を過ぎてしばらくすると道満山に至る。

f:id:arakabu625:20180920072902j:image14:36国師ケ原から約50分

 

更に下ること40分ほどで道満尾根ルートの登山口に到着した。

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10分ほど民家が建ち並ぶ道を下り、徳和駐車場に無事帰着。15時20分、今朝ここを出発してから7時間半の山旅が終わった。


f:id:arakabu625:20180920073947j:image靴もお疲れさま

 

靴を脱いで足の様子をチェック。左の小指の外側が小さく擦りむけていたのと、両足首の内側のくるぶしに小さな擦り傷と圧迫された痛みが残っていた。フィッティングの問題なのか、そもそも靴が合っていないのか、結論を出すのはまだ早いだろう。来週末の尾瀬至仏山でまた様子を伺うことにする。

 

帰りは高速を使うか、来た道を戻るか迷ったが、結局来た道を4時間かけて帰った。途中、秩父の山あいの道で大きな猿と出くわした。最近猿づいている俺であった。

 

乾徳山、日帰りなのにガッツリ感のあるボリュームと後半に向かって盛り上がるコース内容で、とても楽しめる山だった。また来よう、今度は縦走部で。

 

終わり

 

(おまけ)

f:id:arakabu625:20180920075031j:imageテレビで紹介されていた乾徳山の鳥瞰図

 

おしまい