'18年9月22日~23日 尾瀬 至仏山テント泊でまさかの⁉️

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⛰️久しぶりに縦走部の活動報告です。ブログにはアップできておりませんが、8月末の木曽駒以来の部活動となります(木曽駒は訳あってブログ化するのをためらってたら、記憶が薄れてきてしまいました😅)。

 

さて、今回は尾瀬!OZE !日本百名山にも名前を連ねている至仏山を目指します。どんな山行となりましたことやら。どうぞお立ち寄り頂けますよう、ヨロシクお願いいたします。

 

■(前日)尾瀬

今回は尾瀬である。あの、「夏がくぅ~れば思い出すぅ~♪」で有名な。そして、今回は夜行バスではない。なんと、夜行列車だ。東武浅草駅を金曜日の23時55分に出る、その名も《尾瀬夜行・にーさんごーごー》。特急車両のリバティが使われている。

 

いつものように金曜日の仕事を終え、定時に会社を飛び出した。これまでこのブログで触れたことはなかったが、俺の通勤時間は片道2時間。新宿バスタも竹橋駅も、今回の東武浅草駅にしても、一旦帰宅してご飯とお風呂を済ませてから向かうのは結構頑張らなくてはいけないのだ。

 

この夜も頑張って23時過ぎに浅草駅に到着。改札付近にはリュックを背負った人たちがもうずいぶん集まってきていた。「入場は23時35分からでーす。売店も車内販売もないので、近くのコンビニをご利用くださーい」と何度も構内アナウンスしている。しばらくしてちかちゃんとまりちゃんも姿を現した。今回のメンバーはこの3人。アイミ君は病欠だ。

f:id:arakabu625:20180929160054j:image3両編成のにーさんごーごー

 

尾瀬夜行・にーさんごーごーが定刻の23時55分に発車。後ろの座席を覗くと、ちか&まりが早速缶ビールで乾杯していた。

 

■(一日目)至仏山荘へ

3時18分、まだ暗い会津高原尾瀬口駅に到着。ここからバスに乗り換えるのだが、バスの出発までまだ1時間もある。バスも東武鉄道のセットなので、それまで電車の中で待つことができるシステムだ。後ろの席のちかちゃんとまりちゃんはまだぐっすり眠っているようだった。

 

4時過ぎに暗い中バスに乗り換えてまた1時間40分ほど揺られる。尾瀬福島県側の玄関口である沼山峠にたどり着いたのが6時過ぎだった。

f:id:arakabu625:20191029085601j:image6:53 朝ごはんを食べて沼山峠を出発!

一日目は沼山峠からコースタイムで6時間以上をかけて至仏山のふもとにあるキャンプ地・山ノ鼻の至仏山荘を目指す。ちかちゃんとまりちゃんは山荘に泊まり、俺はテント泊を選んだ。

 

f:id:arakabu625:20180929162056j:image森を抜けて、

f:id:arakabu625:20180929162251j:image湿原に出た。標高は1,400mを超えている

 

いよいよ尾瀬らしい風景が目の前に広がってきた。見渡す限り一面の草もみじが見事だ。「この景色が飽きるくらい続くのよ」と尾瀬は二度目のちかちゃんが言った。

f:id:arakabu625:20180929175620j:image7:49 草もみじの向こうに尾瀬沼が見えてきた

 

尾瀬沼の畔に立つ長蔵小屋で1回目の休憩をとる。ここまで約1時間。長蔵小屋の初代長蔵さんは戦後に開発の手が入ろうとした尾瀬の自然を守った大功労者らしい。この長蔵さんのお陰で今日があるのだそうだ。

f:id:arakabu625:20180929182044j:image長蔵小屋の売店

 

長蔵小屋を後にした頃から雨がポツポツ落ちてきた。やっぱり降ってきたか、覚悟はしてたよ。湿原から再び燧ヶ岳のふもとの森に分け入ったあとで、レインウェアの上だけ羽織り、登り下りはそれ程ないだろうからと傘をさした。

f:id:arakabu625:20180929183400j:image傘をさして行く

 

延々と続く木道は雨に濡れていて、かなり危険だった。ちかちゃんが2~3回滑って転び、その様子を後ろから見ていた俺は(う~む、ああなることだけは避けよう)と慎重に歩いていたのだが、あろうことかアルパインクルーザー(登山靴)の左右の靴同士で紐とフックが引っ掛かってしまい、ほぼ気をつけの姿勢のまま前のめりに木道上をぶっ飛んだ。何が起きたのかわからずに慌てて起き上がると、今度はリュックの重さで後ろ向きにゴロン。なんとも恥ずかしい転び方だった。しかも、まったく気付かなかったが、今日が3回目出動の俺のアルパインクルーザー2500にこの時大きな損傷が生じていたのだった。

 

11時過ぎに見晴という場所に到着。ここにもいくつかの山小屋が建っているが、俺たちはそのひとつ《原の小屋》というところで昼食休憩をとることにした。そして、ここまでの道中で、俺の足にこれまでの慣らし登山では起きなかった激しい痛みが出てきていた。

f:id:arakabu625:20181015144226j:image痛てぇ…

 

左足の小指に絆創膏を貼り、くるぶしの痛みは靴下を折り返して二重にし靴紐の上二段を結ばないことで対応。しかし、まだこの時も靴の損傷には気付いていない俺。

 

再び歩き始める。すでに雨はあがっていたが、湿原の向こうに姿を見せてきた至仏山は厚い雲に隠れてまだその全容を俺たちには現さない。

f:id:arakabu625:20181015145445j:image正面に至仏山

 

足を引きずり気味の俺の歩みはのろく、すぐにちか&まりコンビに遅れをとってしまう。

f:id:arakabu625:20181015145804j:imageおーい!

 

こんもりと盛り上がるようにブナの木々が密集している周囲の山々も、ほんのりと秋色に染まり始めたようだ。

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しばらくすると、少しルートを外れたところで、尾瀬を紹介するパンフレットに必ず出てくる構図で写真が撮れるポイントを発見した。三脚を立てたカメラマンが一人いたので、「ここってよく見る写真のとこですよね?」と聞いたら、「そうだよ。けど、みんな割りと素通りしちゃうんだよねー」と言いながら、この場所からの写真がプリントされているクオカードを見せてくれた。そっちの方はミズバショウがきれいだった。

f:id:arakabu625:20191029090300j:imageその撮影ポイントで。至仏山も姿を現した

 

そんなこんなで、今日の宿泊地である山ノ鼻にようやく到着。14時を回っていたので、今朝沼山峠を出発してから7時間以上かかったことになる。はじめは尾瀬沼のほとりを歩き、途中燧ヶ岳の麓の森を抜け、そして尾瀬ヶ原をひたすら至仏山へ向けて歩くロングトレイルコース。ちかちゃんから「同じ景色で飽きるよ」と聞かされていたが、全然飽きなかった。初夏のミズバショウや、夏の盛りのニッコウキスゲの時期はきっともっと素晴らしい景色が広がってるんだろうな。


f:id:arakabu625:20181015153509j:image二人が泊まった至仏山

f:id:arakabu625:20181015153632j:image俺のテント

 

山を登ったわけではないが、やっぱり7時間も木道を歩くと疲れる。リュックは重いし、足は痛いし。靴のシャンクも硬すぎると平地の歩きはしんどくなるんだな、きっと。尾瀬アルパインクルーザー2500は適してなかったのかもしれない、などと考えながら浅い眠りに落ちていた。

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今夜の夕食はおでん。至仏山に登る前に食べちゃうんだから多少重くなってもいいか!と持ってきた。8品も入った贅沢おでんだ🍢

f:id:arakabu625:20181015155039j:imageそれとビール

 

テントの前でビールを片手に空を見ながら一人悦に入ってたら、ちか&まりがやって来て少し恥ずかしかった。

 

至仏山荘の風呂にお金を払えば入れることは知っていたが、なんだかそんな気にもならず早々に寝た。今回は草地の上にテントを張ったので、いつもより寝心地がいい気がする。

 

さあ、明日はいよいよ至仏山だ。

 

■(二日目)至仏山山頂へ

5時過ぎに起きた。湿原に立ち上る朝もやが美しいとガイドブックに書いていたので少し周囲を散策する。朝もやの向こうに至仏山も見えていた。

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俺がテントの撤収をしている頃、ちかちゃんが辺りを散策していて撮ったという尾瀬名物の白い虹。なんでも霧の粒子が小さすぎて七色にならないのだそうだ。ホントだろうか?

f:id:arakabu625:20181015160859j:image確かに白い

 

俺のテントの撤収を待って山ノ鼻を出発したのが7時ちょい過ぎ。やけにいい天気じゃねえか!待ってろよ至仏山

f:id:arakabu625:20181015163603j:image晴れてくれた(o’∀`)♪

 

いよいよ至仏山に入山。しばらくは森の中の木道混じりの登山道をひたすら登る。

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すると、1時間もかからずに視界が開けた。休憩している人たちが皆登ってきたほうを見ている。汗を拭きながら俺たちも後ろを振り返ると、そこには素晴らしい景色が広がっていた。

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尾瀬ヶ原だ。そして、その向こうに燧ヶ岳が見える。ああ、昨日あそこを歩いてきたんだなぁ。

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そこから先は、ずっと燧ヶ岳を背にしながら至仏山の山頂に続く天空の登山道を登っていくようだった。紅葉には少し早いだろうと諦めていたが、標高が上がるにつれてきれいな赤や黄色に色づき始めた木々も俺たちの目を楽しませてくれた。

f:id:arakabu625:20181015170404j:imageおーい、待ってくれー

f:id:arakabu625:20181015170641j:imageもうすぐ山頂だ。

 

10時ちょうど、至仏山(2,228m)山頂に到着。それほど広くない山頂は人でいっぱいだった。

f:id:arakabu625:20191029090338j:image10:00

 

山頂から見る燧ヶ岳は手前に浮かんだ雲に邪魔されてよく見えない。
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軽い休憩をとって下山を開始。下山は登ってきた道と反対方向に鳩待峠を目指す。俺たちが登ってきた山ノ鼻からのルートは登り専用なのだ。鳩待峠まではコースタイムで3時間ほどなのだが、実はこの下山は個人的にこれまでの登山で一番辛かった。足の痛みで…。

 

下山を開始してしばらくは小至仏山の登り下りもあり、登山をしている感じで足の痛みも気にならなかった。

f:id:arakabu625:20181015173400j:imageこんな感じ

 

しかし、ほどなくして下山道は木道になり、緩やかな勾配の坂が延々と続くようになった頃から両足の親指の付け根から爪先までがジンジンと痛み出した。

 

その途中、燧ヶ岳がよく見える撮影ポイントでこの写真を撮っているときに、背後でまりちゃんが「ぼちぼちトイレが黄色信号だわ…」とつぶやくのが聞こえた。

f:id:arakabu625:20181015174241j:image「ぼちぼちだわ…」(byまり)

 

まずい、早く鳩待峠に着かなくてはいけない…。ひたすら続く木道の緩やかな坂の下山道は、しかし俺の両爪先あたりを容赦なく痛めつける。靴の中で親指を持ち上げてクネクネさせるといくぶん痛みも薄らぐが、すぐにまた痛くなる。けど、ちょっと休もうなんて言えない。だって、こんな緩い坂を下るだけの下山では二人とも疲れているはずがない。二人はきっと鳩待峠で早くトイレを済ませてお昼ご飯を食べたいという一心で歩いてるに違いないのだ。もしかしたら、まりちゃんにはもうすでに赤信号が点滅しているかもしれない!

 

少し前から両足の親指の痛みが、ジンジンからズッキンズッキンに変わってきた。俺は、後ろからやって来る登山者に道を譲れる広さのあるところを見つけてついに立ち止まった。

 

「ちょっとごめん、足が痛い」

しばらくそこに立ち止まっていたが、足の痛みの収まる気配がまったくないことを感じた俺はついにこの言葉を発してしまったのだった。

「先に、行ってくれ…」

 

先に行ってくれ、後で追いかけるから…。山登りを始めて約1年。30回以上の山行で初めて発した言葉だった。いや、かつて一度だけ言ったことがある。あれは、そう、今年の夏の北アルプスで台風の最中に常念小屋を目指して歩いたときだ。あまりの暴風雨に逃げ込んだ山小屋を後にしようとしてお腹がグルッときてトイレに戻った。あのときも同じ言葉を発したっけ。あのときは後で追いかけたらみんなはライチョウを見つけてたんだよなー。

 

いやいや、そんなことはどうでもいい。もう歩けない。足が痛くてもう歩けない!俺にとっては、まさかまさかのリタイアに等しい「先に、行ってくれ」発言だった。

 

「わかった、じゃあ先に行ってるね」

心配そうに振り返りながら歩き出したちか&まりを見送って、俺はまだその場所から動けずにいた。GPSで現在地を確認したら、鳩待峠まではあと30分くらいの地点だった。

 

ストックを出し、痛みが引くのを待って歩き始めたがすぐにまた痛くなる。一人になったらタガが外れたように休み休みの歩きになってしまった。

 

1人通るのがギリギリの道幅の場所で後ろから登山者の足音が近づいてきた。これはまずいと必死に歩みを速めるが、背後の登山者はすぐ後ろでしつこく俺をあおる。後続者には申し訳ないと思うが、しかしこれは完全にマナー違反だ。避けられるものなら俺も避けるさ。だけど、この道幅でどうすればいいというのか。なぜ幅の広い場所まで待てないのか。俺は立ち止まって後ろを振り返った。

 

「ちょっと待ってもらえますか。ここを抜けたら譲りますから!」俺をあおっていたのは若い男性の単独登山者だった。

 

登りでも下りでも、たまに先行者に道を譲られることがある。あおることにならないように距離を詰めないようにしていたつもりだったが、もしかしたら俺もあの若者と同じことをしていたのかもしれない。改めて気を付けようと思う。

 

13時前くらいだったろうか、俺はやっと鳩待峠に到着した。ここからはバスだ。もう歩かなくていい。

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鳩待峠の休憩所で、昼ごはんを食べずに待ってくれていたちかちゃんまりちゃんと無事合流。みんなで山菜うどんと花豆ソフトクリームを食べた。

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このあと乗り合いバスで戸倉へ移動。戸倉で高速バス《尾瀬号》に乗り換えて新宿に向かった。

 

そういえば、俺のアルパインクルーザーに起きたアクシデントを書き忘れた。この日の朝、至仏山に向けて靴を履こうとしたら、なんと靴のフックがとれていたことに気付いた。昨日の木道で靴紐をフックに引っ掛けて転んだときに千切れたのだろう。そんなに簡単に?って感じだけど。

f:id:arakabu625:20181015194704j:image靴も痛々しい

 

アクシデントは高速バスに乗ってからも起きる。高速の事故渋滞だ(これはいつものことで、アクシデントじゃないって?)。すでに新宿での反省会の店も決まっていたが、いつまで経ってもスムーズに進まないバスに業を煮やしたちかちゃんとまりちゃんに促され、川越で尾瀬号を途中下車。走って川越市駅に向かい、池袋行きの急行列車に飛び乗った。

 

20時、池袋の居酒屋でなんとか乾杯にこぎつける。「あのままバスに乗ってたら、まだバスの中だよね🎵」と会心の笑みを浮かべるちかちゃんとまりちゃんであった。

f:id:arakabu625:20181015202244j:imageかんぱーい!

 

こうして、色々あった尾瀬至仏山の山旅が無事終わった。よかったよかった。(至仏山のバッジ買い忘れた…)

 

終わり

 

(後日談)

フックが取れたアルパインクルーザー2500は、その後モンベルに持ち込んだところ全額返金という予想外の展開になりました。購入してから1ヶ月もたってないので無償修理くらいは期待して行ったのですが、まさかの全額返金に恐縮してしまった私は、そのまま靴売り場へ。そして、もう少しシャンクの柔らかいアルパインクルーザー2000を購入しました。サイズも0.5cm上げて28.5cmに。

f:id:arakabu625:20181015203324j:imageこれ!

 

次の山行(木曽駒リベンジ)が楽しみです。

 

(おまけ)

f:id:arakabu625:20181015203949j:image至仏山荘にて

f:id:arakabu625:20181015203735j:imageちかちゃんがスマホを木道に立て掛けて撮りました

f:id:arakabu625:20181015204256j:image私です (^_^)v

 

おしまい