'18年10月13日~14日 中央アルプス 木曽駒ヶ岳リベンジ!

f:id:arakabu625:20191029072252j:image木曽駒ヶ岳山頂にて)

⛰️今回も縦走部の活動報告となります。中央アルプスの主峰・木曽駒ヶ岳と絶景の千畳敷カールを巡る山行記録です。

 

なぜに「リベンジ」なのか?それは本編の中でご説明しましょう。それでは、ご一読のほどよろしくお願い致します。

 

■(一日目)駒ヶ根千畳敷

今回はバスでも電車でもなく、俺の車で中央アルプス木曽駒ヶ岳に向かうことにした。車にした一番大きな理由は、フレキシビリティの確保である。状況の変化に柔軟に対応するためには車が必要だということを前回の木曽駒で身に染みたからだ。

 

実は、今回の木曽駒は縦走部として2回目の山行となる。ブログにアップしてないが、8月に1回目を実施した。このときは低気圧による強風でロープウェイがまさかの運行中止、そもそもロープウェイの駅まで通じる林道が前日の雨量オーバーで通行止めになってしまった。前日の夜に都内を登山バスで出発し、夜明け前の4時に現地に着いた俺たちは、当日の朝の気象状況をみて運行中止を決めるロープウェイには太刀打ちできない。夜が明けてきた現地でバス会社のおじさんに「ロープウェイ動かないし、林道が通行止めだからバス来ないよ~」と何度も言われ、ただ途方にくれてしまうしかなかったのだ。

f:id:arakabu625:20181101123952j:imageビーン

 

イカーで来ていた登山者たちは、ロープウェイの運行中止を聞いて早々にバス乗り場から離れていった。足のない俺たちはタクシーもつかまらず、夜が明け始めた菅の台バスセンターで本当に途方にくれて立ち尽くした。そして雨の中、帰りの高速バスが停まる停留所を探してトボトボ歩いたのだった💧

f:id:arakabu625:20181107121528j:image前回のバス乗り場の様子。暗いうちから並んだが…

 

ということで、今回は車。新宿駅近くで待ち合わせて6時過ぎに出発。途中のサービスエリアでロープウェイの運行状況もチェックし、そのまま木曽駒登山の起点となる菅の台バスセンター(長野県駒ケ根市)へ車を走らせた(🚐💨ブォーン!)

 

二度の休憩をはさんで9時40分頃菅の台BCに到着。しかし、350台は停められるという大きな駐車場はすでに満車。もっと上の方に回れと案内されてしまう。ここ菅の台でバスに乗り換え、ロープウェイの駅があるしらび平に向かう計画だったが、バスもロープウェイも大混雑という情報ばかり耳に入ってくるのでそれぞれ1時間以上は待つ覚悟で来た。しかし、いきなり駐車場が満車とは…。さすが千畳敷カールだな~、この先が思いやられるな~とテンションを下げながら山のほうに車を走らせて、黒川平という山あいの場所にようやく車を停めることができた。

 

ここからバスセンターまで歩いて戻るのかよ〜と思っていたら、この黒川平でも小さなチケット売り場とバス停があり、バスとロープウェイがセットになったチケットも買えるという。そしてバスセンターから来たと思われる臨時っぽいバスに2台目ですんなり乗れたではないか。どうやらバスセンターでは助手席を使わずにここまで来て、黒川平で助手席分の人数がバスに乗り込むシステムになっているようだった。

f:id:arakabu625:20181106201121j:image黒川平のチケット売り場

 

う〜ん、よくわからないが、そんなこんなで俺たちは菅の台に着いてから30分程でしらび平行きのバスに乗ることができたのだった。こんなこと観光案内のウェブにも、誰のブログにも載ってなかったけどなー、まいいか!

f:id:arakabu625:20191029072328j:imageバス停で目薬を差す俺

 

30分ほどバスに揺られてしらび平に到着。ここでロープウェイに乗り換える。予定ではここでも1時間くらいは待つ覚悟でいたが、割とすんなり乗れて(ギューギュー詰めだったが)、11時には千畳敷に着いてしまった。

f:id:arakabu625:20181106204832j:image千畳敷カール、ドーン!

 

千畳敷カールは紅葉が終わり、冬に向かいかけの色合いだったが、それでも圧倒されるような絶景だ。夏のお花畑や秋の紅葉の季節はさぞやと思わせるものだった。

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12時過ぎ、靴のひもを締め直し、標高差250mほどの乗越浄土というところにある宝剣山荘を目指して登り始める。登山装備でない観光客も登山者に混じって沢山いた。

f:id:arakabu625:20181106204947j:imageさあ、登るどー

 

1時間もかからずに乗越浄土(標高2,858m)に着き、今日の宿である宝剣山荘で受付を済ませる。宝剣山荘はその名の通り宝剣岳の直下に建つ山小屋だが、宝剣岳は命の危険のある山だと事前に鈴木ともこさんの本で刷り込まれていたので、登る予定にはしてない。しかし、予想外に早く山小屋に着いてしまったのですることがない。

「宝剣岳、行けるとこまで行ってみる?」

ということで、荷物を山荘にデポして宝剣岳へと出発した。

 

《死が見えた》

漫画家でエッセイストの鈴木ともこさんが自著のなかで、宝剣岳をそう紹介していたらしい(まりちゃん談)。偶然俺も先月、乾徳山の山頂直下の岩壁で順番待ちをしていたときに、俺の後ろに並んだ中年男性から「宝剣岳の岩場は雨が降っていたので、こりゃ危険だと思って引き返したんですよ」という話を聞いたばかりだった。

 

だから、登り始めてみたものの、どうせすぐに「こりゃあかん、ごめんなさい、戻ります」というような箇所に出くわすのだろうと思っていた。ところが、途中ですれ違った60歳は過ぎてるだろうと思われる男女数人のパーティーのおばちゃんに「大丈夫、楽勝。私でも登れたのよ」と笑いながら声をかけられたあたりからみんなのというか俺の気持ちに変化が現れる。だってそのおばちゃんは見るからに軽装のハイキング然としていたからだ。(あれ?もしかして行けちゃう?)(せっかくここまで登ってきたし、途中で引き返すのもなー)などと、典型的な遭難者の心理になっていた。

 

途中からガレ場は両手を使ってよじ登るような岩の連続になり、ストックを使っていたアイミ君とちかちゃんとまりちゃんは両手を空けるため岩陰にストックを隠した。誰も引き返そうとは言わない。言うタイミングを逸していた感じで黙々とよじ登る。一番怖かったのは、断崖絶壁(のように俺には見えた)を横に這っていく山頂直前のところだったかな。鎖が渡してあるので高所が苦手でなければそれほどでもないのかもしれないが俺は怖かった(下りはもっと怖かった!)。

 

俺以上に高所の苦手なちかちゃんがその難所をクリアして頂上に這い上がってきた。

f:id:arakabu625:20191029072416j:image怖かった~

f:id:arakabu625:20191029072454j:imageもしかして腰が抜けた?

f:id:arakabu625:20191029072537j:image割と平気そうだったアイミ君とまりちゃん

 

ということで、思わぬオプショナルツアーとなった宝剣岳登頂だった。

 

その後、宝剣山荘に戻ってまったり過ごしたが、なにげに眺めていたショーケースに並んでいる缶ビールの値段に驚く👀

f:id:arakabu625:20181107081430j:image200円。平地よりも安い?

 

山小屋のスタッフにその訳を尋ねると、今年の夏は週末毎に台風がやって来て山小屋を利用する登山者が少なかったらしく、ビールが残ってしまったとのこと。夕食の時に買って底を見てみると、確かに消費期限が2019年2月になっていた。

f:id:arakabu625:20191029072616j:image唐突ですが、かんぱーい!

 

みんな(特にちかちゃん)、今日は宝剣岳よく頑張りました!

 

■(二日目)木曽駒ヶ岳山頂へ

翌日は朝から雨だったが、朝食を終える頃にはその雨も上がった。外に出てみると辺り一面ガスに覆われていてまったく先が見通せない。気温もずいぶん下がっているようだ。全員ザックカバーを付けたが、ウェアはそれぞれ。俺は薄手のソフトシェルの上にレインウェアの上だけを羽織り、防風手袋を手袋の上から二重に装着した。

f:id:arakabu625:20191029072645j:image準備完了

f:id:arakabu625:20191029072705j:image出発

 

7時20分に山荘を出発。しかし、ガスが想像以上に濃くてルートが見えない。木曽駒ヶ岳の山頂までは1時間足らずの行程だったが、うかうかしてられないなと気を引き締めた。

 

途中で雨のようなみぞれのようなものが降ってきた。そして、それがだんだん雪になってくる。振り返ると登山道は薄っすらと白く覆われはじめていた。

f:id:arakabu625:20181107123105j:imageガスに覆われていた登山道に

f:id:arakabu625:20181107122852j:imageいつのまにか白いものが

 

8時ちょうど、木曽駒ヶ岳山頂(2,956m)に到着。今気がついたが、縦走部の登頂高度記録の更新だ。雪とガスに覆われた山頂は残念ながら眺望ゼロ。本来ならば360度の絶景が拝める場所なのだろうけれど、こればっかりはしょうがない。気が付くと、低温のためスマホが勝手にシャットダウンしていた。

f:id:arakabu625:20191029072743j:image山頂にて。寒い~

 

下りはさらに風が強くなり、氷の粒が顔にバチバチ当たって痛いほど。濡れた手袋が凍えて辛そうだったちかちゃんとまりちゃんに俺の防風手袋を片手ずつ着けてもらったが、手袋の防水対策は今後の縦走部全員の課題だなと再認識した。

 

当初の計画では山頂から反対側へ下り、濃ケ池を回って乗越浄土に戻ってくるルートを予定していたが、稜線歩きを楽しめる天候じゃなかったのでピストンルートに変更した。泊まった宝剣山荘の前を足早に過ぎ、一目散に千畳敷カールを下る。いつしか雪は雨に変わり、9時半頃だったろうか、俺たちは無事に千畳敷駅に到着した。ぐっしょり濡れた装備をほどき、駅の喫茶コーナーでしばしの休憩を取る。休んでいる間もロープウェイは次から次に下界から観光客を運んでくるが、今日の天気では千畳敷カールの雄大な景色も全く見えないし可哀想だな。外人の観光客も多かった。

f:id:arakabu625:20181107125804j:imageおニューのアルパインクルーザー2000も大過なくお務めを果たしてくれました

 

ここからはロープウェイとバスを使って駐車場まで戻り、ふもとの温泉で冷えた体を温めるだけだ。そして、中央高速を一路新宿に向かう。(もう山登りは終わった)千畳敷駅で温かいクラムチャウダーをいただきながら、まだ2,600mを超す高所に居るというのに、俺はそんな気分で安堵の息をついた。

 

思いがけず今年2度目となった木曽駒山行は、千畳敷カールの雄大な景色を堪能し、木曽駒ヶ岳の山頂を踏んだことでリベンジ成功!と言いたいところだったが、あいにくの天候のせいでイマイチすっきりしない感じが残ったのは俺だけじゃないだろう。いつかまた中央アルプスの絶景を心行くまで楽しむ山旅にトライしようと心に誓った。

 

終わり

 

(耳より情報)

そういえば、今年の夏に木曽駒ヶ岳でビッグニュースとなる発見があった。なんと、中央アルプスではここ50年姿を見ることのなかったライチョウが目撃されたという。なんだか嬉しいね🎵

 

(おまけ)

f:id:arakabu625:20181107190207j:image山バッジ

f:id:arakabu625:20181107191157j:image誰かの駒ヶ根名物ソースカツ丼

 

おしまい