【作成中】私の山道具選び⑤イスカ エアドライト860(厳冬期用シュラフ)

⛰️コロナ禍による巣籠もり需要とでも言いますか、ここ最近立て続けに山道具を購入しました。今回はその中のひとつ、シュラフをご紹介させていただこうと思います。

 

ただし、買っただけでまだ実践に投入できていません。とりあえず「こんな目的と理由で、こんなの買ったよ!」的なレポートとなりますが、ご容赦のほどお願いいたします。

 

そのシュラフとは、これ、

■イスカ エアドライト860

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いわゆる《厳冬期用》のシュラフです。税込みで6万円を超える大物ということもあって2ヶ月くらい悩みに悩みましたが、3月末に購入に踏み切りました。

《ついに買ってしまったか!ランキング》でもあれば、今のところダントツ1位のアイテムですね、私的には。

 

まずはスペックを簡単に記します。

  • 重さ:1,330g
  • ダウン量:860g(750フィル)
  • 最低使用温度:-25℃

堂々の1kg超えです。

f:id:arakabu625:20210503072809j:image(2Lのペットボトルと。でかい!)

 

■最低使用温度とは

注目ポイントは《最低使用温度-25℃》ってところですが、イスカは他のシュラフメーカーのようなヨーロピアンノーム規格での表記がありません。その代わり、ホームページで『表示温度におおむね5~10℃をプラスした温度域』が『快適使用温度』であると説明しています。つまり、このシュラフでは-15℃~-20℃あたりが実用域での最低温度と考えた方が良さそうです。

 

■余談ですが

上述の通り、イスカではヨーロピアンノーム規格での表記がありませんが、実はモンベルではダウン量の表記がありません(海外向けHPには記載がある)。ナンガは両方の表記があります。このあたりは私たちがシュラフを選ぶときの重要な情報だと思うので、なんとかならないのでしょうか。

 

但し、ヨーロピアンノーム規格そのものの信頼性はあまり高くないと業界的には言われているようです。私見ですが、各社のシュラフの対応温度(温かさ)を比較検討する場合、最も重要な指標はダウン量とフィルパワーではないかと思います(理論上)。その点では、ダウン量を開示していないモンベルはフェアではない印象です。海外向けのHPではダウン量の情報を載せていますので、穿った見方をすれば日本の消費者を馬鹿にしているともとれる対応ではないかと感じたりもします。すいません、余談でした。

 

■決め手は撥水ダウン

話をもとに戻しましょう。私が購入したこのエアドライト860は、イスカのHPで次のように説明されています。

厳冬期の3000m級山岳や、寒さの厳しい八ヶ岳などに最適なモデルです。撥水加工の高品質なダウン860gを使用し濡れにも強く、独自の舟形構造で保温性は抜群。本体を大きめに設定し、冬の着ぶくれに配慮しています。

説明書きにも記載がある通り、このシュラフに使用されているダウンは撥水加工が施されています。私がこれを選んだ決め手となったのも、この撥水ダウンでした。

f:id:arakabu625:20210502202406j:image(時代は撥水ダウン)

 

ご存知の通り、ダウンシュラフの最大の弱点は水濡れです。この水濡れ対策には2通りの方法があって、そのひとつは羽毛を封入するナイロン生地の防水化です。防水素材を使ったシュラフ、一見最強のような気がしますが、実はそうではありません。各社(ここではイスカ、ナンガ、モンベルの3社とします)のほとんどの製品が防水ではなく、撥水としているのもその弱点があるためでしょう。ナンガのオーロラシリーズは防水処理を施したシュラフの代表格ですが、モンベルには同様のシュラフはありません。イスカにはかつて存在したようですが、見つけられませんでした。

 

■防水シュラフの弱点

防水シュラフの弱点その1は、内部の結露です。ゴアテックスを頂点とする防水&透湿素材は蒸れます。あれ、おかしいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、事実です。ゴアテックスをはじめとする完全防水素材が透過する湿気なぞはたかが知れていて、透湿量は単なる撥水ナイロンの方が圧倒的に多いのです。一晩寝たら人体からはコップ一杯分の水が放出されるという話を耳にしたことがあると思いますが、防水素材の膜(メンブレンといいます)に開いている極小の穴ではその水蒸気を放出しきれないのです。結果、内部に結露を生じさせ、ダウンのロフト低下や、厳冬期における結露の凍結などのトラブルが発生しやすくなります。

 

防水シュラフの弱点その2はいくつかあります。まず重量の増加。通常のナイロンを防水化すると250g~300gほど重くなるそうです。次に防水素材の経年劣化。オーロラも5年ほどで防水素材が経年劣化を起こし、シュラフ内部に剥離したカスが溜まり始めるとナンガ自身が説明しています。

 

■撥水ダウンが標準?

ということで、ダウン最大の弱点である水濡れによるロフトの低下を防ぐためには、撥水ダウンを用いることが有効なのです。数年前からダウンジャケットなどには撥水処理されたダウンが広く使われ始めていましたが、なぜかシュラフではこれまでずっとナンガのUDDシリーズだけしか選択肢がありませんでした。

 

私は去年あたりから厳冬期用シュラフの検討を始めましたが、すぐに気がついたのは海外メーカーはすでに撥水ダウンシュラフが標準だということです。今回私の最終候補に残ったニーモやシートゥサミットも対象製品はすべて撥水ダウンでした。私はイスカから今回の撥水ダウンシュラフが発売されていたことを知るまで、ほとんどニーモに決めかけていたくらいです。

f:id:arakabu625:20210503164651j:image(ニーモ ソニック0 55,000円)

 

■エア450X

イスカの山岳用シュラフのラインナップは去年くらいに大きく一新されたようで、もとは《エア(Air)シリーズ》というのがイスカを代表するモデルでした。私が愛用している3シーズン用シュラフエア450X》もこれです。

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・エア450X

  • 重さ:840g
  • ダウン量:450g(800フィル)
  • 最低使用温度:-6℃

この製品は、一般的にはモンベルのダウンハガー800の#2に相当すると言われていますが、#2はダウン量400g(800フィル)ですので、若干スペック的な差はあると言えるでしょう(その分総重量は#2の方が軽い)。

f:id:arakabu625:20210502202502j:image(左エアドライト860、中エア450X)

 

■2モデルの違い

話を再び戻します。

イスカのシュラフ《エアシリーズ》は、いつのまにか《エアプラス》と《エアドライト》の2モデルに分化していました。二つのモデルの大きな相違点はダウンのフィルパワーと撥水機能の有無です。

エアプラス:800フィル、撥水機能なし

・エアドライト:750フィル、撥水機能あり

 

イスカではエアプラスをフラッグシップモデル、エアドライトをベーシックモデルと位置付けており、同スペック(対応温度)の製品で比較すると、エアプラスが15%ほど高価格設定になっています。

 

ここで私が購入したエアドライトと、同等スペック(対応温度)のエアプラスを比較してみましょう。

エアプラス810【エアドライト860】

  • 重さ:1,280g【1,330g】
  • ダウン量:810g【860g】
  • フィルパワー:800フィル【750フィル】
  • 撥水機能:なし【あり】
  • 最低使用温度:-25℃【-25℃】
  • 価格:69,300円【60,500円】

 

フィルパワーと温かさの関係を簡単に説明すると゛同じダウン量であればフィルパワーの高い方が温かく、同じ温かさを実現するためにはフィルパワーの高い方がダウン量を少なくできる(=軽くて嵩張らない)゛ということです。私は50gの重量増と価格差と撥水機能の三つを天秤にかけて、エアドライトを選んだということになります。

 

シュラフ選びは疲れるわ~

もちろんイスカ同士の比較だけではなく、モンベルやナンガ、それから海外メーカーとも比較検討しましたが、全部は書ききれません。ちょっと長くなってしまったのでこの辺でやめときます。ちなみに、モンベルのダウンハガー800であれば、#0とEXPの中間に相当するスペックになりますが、同社には900フィルのラインナップもありますし、話題のシームレスシュラフへと進化もしました。つまり、各社様々な特徴がありますので、とにかくシュラフ選びは本当に疲れますわ、というのが結論てことですかね。

 

あんまり悩み過ぎたので、このシュラフが手元に届いたときにはすっかり厳冬期が終わってました😅(ちゃんちゃん)。

 

《①厳冬期用シュラフ》の話、終わり

 

(おまけ)

シュラフの圧縮袋も購入しました。圧縮袋は安価な中華製品を除けば、イスカとシートゥサミットの二択と思われます。私は450用にイスカのMサイズを、860用にはシートゥサミットのLサイズを購入しましたが、価格も品質も甲乙つけがたいという印象です。ただし、防水性を求めるならシートゥサミット一択かな。

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(ウルトラシル コンプレッション ドライサック Lサイズ、4,620円)

 

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