'19年9月14日~15日 八ヶ岳 赤岳でちか&まりテント泊デビュー!(2日目)
(念願の赤岳に立つ!)
赤岳でテント泊デビュー!(1日目)からの続きです。
■翌朝
4時頃に起き出して山小屋のウッドデッキへ下りていくと、暗闇の中でもうすでに3人の朝食が始まっていた。俺もお湯を沸かし、パスタを茹でる。山パスタのコツはただ一点、茹でるお湯をごく少量にすること。茹で上がったら湯切り無しで食べられるようにお湯の量を調整するのだ。あとはたらこスパゲティのソースを加えてきざみ海苔を振りかければ出来上がりだ。
食事を終え、出発の準備を整える。俺はバルトロの中の荷物を最小限にして、ガタツキが出ないようにサイドのコンプレッションベルトをきつめに締めた。アイミ君とちか&まりはアタックザックを背負っている。
いつの間にかテント場の夜も明けてきた。今日はいい天気になりそうだぞ。
山小屋からも赤岳がよく見えている。俺は大きく背伸びをして、はやる気持ちを抑えていた。
さあ、出発だ!
■行者小屋とヘルメット
5時45分、赤岳鉱泉を出発。青いジャケットがキマッテいるアイミ君を先頭に、ちか・まり・俺の順に再び八ヶ岳の森の中に入って行く。
赤岳鉱泉から赤岳山頂までの標高差は680m、コースタイムでは約3時間の行程になるが、まずは45分歩いた先にある行者小屋という山小屋を目指す。ここでちか&まりがヘルメットを借りた(500円)。
今夏の富士山で発生した落石によるロシア人女性の死亡事故が契機となって、ヘルメットは登山者の命を守る最低限の装備だという声が大きくなっている。だが、俺たちのような経験の浅い者にとっては、ヘルメットを装着すべき山とそうでない山の判別が難しい。今回の二人も最後まで悩んだ末に借りることにしたようだが、結果的にはいい判断だったと思う。
6:36 行者小屋にて
同上
ヘルメットの話をもう少し。
俺は前回の槍ヶ岳からヘルメットを装備し、標高の上がったガレ場で初めて着けた。今回は、上の写真を見ると行者小屋ですでに装着しているようだ(どこで被ったのかよく覚えてない😅)。この2回の経験で感じたのは、ヘルメットは全然大袈裟な装備ではないということだ。一旦被ってしまえば、ヘルメットのことはすぐに忘れてしまうし他人の目も気にならない。もっと低い山でもヘルメットを被った登山者を見かけることがあるが、俺はそれも気になったことはない。逆に相当なベテランか、山の怖さをわかっている人だなと畏敬の念を抱くほどだ。
(今回のヘルメット姿)
しかも、ヘルメットが守ってくれるのは落石からだけじゃない。頭は思いのほか重いので(ダジャレじゃないよ)、転倒や滑落したときに頭部を強打することがとても多いのだが、ヘルメットはそれを守ってくれる。滅多に起きない落石よりも、おそらく後者のケースの方が活躍する場面は多いだろう。しかし、わかっちゃいるけど…なんだよねぇ。とにかく、これからもヘルメットを装備に含めるかどうかは迷うことが多そうだ。
(槍ヶ岳のとき。もう自分では見慣れてしまったヘルメット姿)
さて、話を行者小屋に戻そう。
ここからコースは地蔵尾根と文三郎尾根の二つに分かれる。どちらも人気のコースのようだが、終盤の横岳方面から山頂に向かう稜線歩きがしたかったので、地蔵尾根を登ることにした。そして、これは大正解だったと思う。(ちなみに、ここから先の写真は全員ヘルメット被ってます!)
言い忘れたが、今日は最高の天気だ。真っ青な空には雲ひとつない。いや、雲は眼下に雲海となって広がり、見たい景色以外を覆ってくれている。とにかく最高だ。北アルプスがくっきりと見える(槍も見える)。穂高連峰の左は乗鞍だ。さらにその左には御嶽山がそびえ、さらにさらにその左には中央アルプス最高峰の木曽駒も見える。
(これはパノラマ写真。一番左が赤岳、一番右の黒いギザギザが横岳。実際はこんな風には見えません)
高度が上がるにつれて、徐々にスリルのある梯子や鎖場、岩場が現れてきた。ちか&まりだけでなく俺も持っていたストックをしまったが、二人ともアタックザックだったので縮めたストックの収納ができない。ここで俺の大きなバルトロが役に立った。
(赤い鎖場)
鎖場と梯子を過ぎてホッとひと息つけるようになると回りは赤い岩だらけということに気がついた。これが赤岳の名前の由来なのは間違いないだろう。
顔を上げると、いよいよ稜線らしきものも見えてきた。
(赤い岩を登る)
(赤い岩壁)
■地蔵の頭~赤岳山頂
両手を使いながら急坂を登りきり、ようやく稜線に出た。ここは《地蔵の頭》というらしい。地蔵尾根の終着点だ。ここまで行者小屋から1時間といったところか。
7:44 地蔵の頭
やっとここまで来た。あとはこの稜線を伝って赤岳に向かえばよい。稜線の反対側には奥秩父の峰が雲海の上に浮かんでいた。ポチッと五丈岩が見えるから、きっとあれが金峰山だ。
(赤岳)
(奥秩父の峰々)
そしてそして、赤岳の左の雲の上に富士山のお出ましだ。こんなに端正な裾野を広げた富士山を久しぶりに見た気がする。なんとも言えない素敵なブルーだ。この景色を見れただけでも、ここまで登ってきた甲斐があったというものだ。
(やっぱりいいなぁ)
「カッパドキアの風景も凄かったけど、やっぱり自分の足でここまで登って来ないと見れないこの景色は格別だわ」と、トルコ帰りのまりちゃんが噛みしめるように呟いた。
7:46 赤岳と富士山
(それにしても、この空の)
(青さは、どうだ!)
あとは、あの最後の急登をクリアすれば山頂だ。さあ、行こう。
(おーい、俺を置いてくな~)
(ずんずんずん)
赤岳展望荘を過ぎて、残すは最後のひと登りとなった(それでもまだ30分かかったが)。一歩一歩赤いガレ場を進む。目を凝らすと、頂上手前では渋滞も起きているようだ。
8:02
そして、俺たちはついに念願の場所にたどり着く。今朝赤岳鉱泉を出発してから、ほぼコースタイム通りの3時間足らずの道のりだった。ここが八ヶ岳連峰の最高峰、赤岳(2,899m)の頂上だ!
8:33
(やったぜ、ちかちゃん!)
赤岳山頂は想像以上に素晴らしい場所だった。なんたってこの天気だ。直近の山行はアイミ君(北アルプス 黒部川源流域)、ちか&まり(北アルプス 燕岳~常念岳)、俺(南アルプス 鳳凰三山)と別行動が続いたが、全員好天に恵まれた。その好天パワーが、今日の八ヶ岳に集結したようだった。
(山頂にて、その1)
(山頂にて、その2)
(山頂にて、その3)
これまで赤岳に遮られて見えなかった南アルプスが、山頂に立つとジオラマのように目の前に出現した。
■下山
30分くらいは山頂にいただろうか。いつまでもここにこうして居たかったが、そういうわけにもいかない。全員で山頂にある赤嶽神社にお参りをしてから下山を始めた。
下山に使った文三郎尾根は前半の岩場が大渋滞になっていた。まだまだ多くの人がこの尾根からも登ってきている。さすが9月の三連休だ。
(下りの文三郎尾根)
途中からはかなり急な階段が連続して現れた。これが登りだと、ちと辛いか。
階段
ここも階段
行者小屋でヘルメットを返却し、赤岳鉱泉に帰り着いたらもう腹ペコ。俺とちかちゃんは味噌ラーメン、アイミ君とまりちゃんはカレーを頂いた。もちろんこいつも!グビグビ~
(マムートのビアジョッキ)
張りっぱなしにしていたテントを撤収し、赤岳鉱泉に別れを告げる。お嬢二人の初めてのテント泊、お世話になりました!
13:15 あざーっす
2時間半ほどで車を停めていた美濃戸口までたどり着く。下山後はすぐに車に乗り込み、近くの温泉で汗を流して、高速のインター近くのほうとう屋さんに立ち寄った。
おつかれ~(俺はノンアル)
こんな風にして、ちか&まりの初めてのテント泊登山は無事に終わった。2年前にちかちゃんから教えてもらった彼女憧れの赤岳に縦走部のみんなで登ることもできたし、今回も最高の山旅になったのは言うまでもない。
(終わり)
最後にヘルメットの話をもうひとつ。
赤岳の山頂かどこかで休憩しているときのこと。俺の後ろ頭を見ていたまりちゃんが「こんなとこにカベチョロがいるー」と笑い始めた。カベチョロとは福岡出身の人ならすぐにわかると思うが、ヤモリのことだ。夜の家の外壁や、常夜灯のついた電柱などで時々見かけるとかげみたいなやつ🦎。あれのことを俺たちの田舎ではカベチョロというのだ。そして、まりちゃんが俺の後ろ頭に見つけたカベチョロとは、これのことである。
まったく、失礼なやつだぜ!
(おしまい)
最後までお読みいただきまして、本当に有難うございました。また、近いうちに。
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