´21年4月17日~18日 谷川岳リベンジ!(後編)

f:id:arakabu625:20210425162457j:image(吹雪のなかを下山。撤退か?!)

 

■2日目(日曜日)の朝

5時過ぎにセットしていたらしいアイミ君のスマホの変なアラームが大音量で鳴り響き、みんなモゾモゾと起き出しました。なかなか目が開かない私は、窓の近くにいたちかちゃんにカーテンを開けてくれるよう頼みます。

 

パアッと部屋が明るくなり、まばゆいばかりの光に包まれてようやく目が覚めました。外は昨日の予報通りの晴天です。窓から谷川連峰もくっきりと見えました。目の前に広がる草原にはキジもいましたよ。

 

顔を洗っているときにまりちゃんから「谷川岳行くの?」と聞かれ、「行かない」と答えた私。谷川岳へは30kmほど戻らなくちゃいけないし、本当にもうその気はなくなっていましたが、アイミ君やちかちゃんとはまだ合意がとれていません。私はグーグル様にこっそりと小声で、

「近くの山」

と音声入力しました。すると吾妻耶山(あづまやさん)という標高1,341メートルの山がヒットしました。ぐんま百名山で、登山口から2時間ほどで山頂に立てるようです。

 

(これでいいじゃん!)いいものを見つけたとばかりにアイミ君に提案しますが、「冬靴が泥だらけになるのはやだ!」と難色を示されました。そしてその顔には(せっかくここまで来たんだし、天気もいいし、谷川岳行こうよ!そもそも5時起きって言ったのお前だろ!)と、大きくハッキリと書いてありました。

 

「よし、谷川岳行くぞ!そこの二人、お化粧急いでねー!」

豹変した私にまりちゃんが目を丸くしていたのは言うまでもありません。

 

■いざ、谷川岳

f:id:arakabu625:20210425171606j:image(ロープウェイで一気に天神平へ)

f:id:arakabu625:20210425171634j:image(天神平が見えてきた)

 

8時10分、標高1,319mの天神平に到着。天気はまずまずです。今シーズンの営業を終えたスキー場には、昨日が大荒れの天気だったこともあり、登山者は私たちを含めて10組もいなかったのではないでしょうか。雪のなかに並べて置かれた椅子に腰かけて、12本爪アイゼンを装着しました。

f:id:arakabu625:20210425182230j:image(アイゼンつけて、と)

f:id:arakabu625:20210425182701j:image(8:27 いざ出発)

 

■快晴なり

天神平からのルートは谷川岳登山のメインコースであり、おそらく一番安全なルートです。しかし、スタート直後から天神尾根に上がるまでの登りは、この日一番の急登となりました。夏道とは違い、みんな直登しちゃうんでしょうね。

 

尾根に上がると、澄んだ青空が出迎えてくれました。汗ばんできた首元が心地よい風に冷やされます。

f:id:arakabu625:20210425194721j:image8:56

f:id:arakabu625:20210425195155j:image(尾根伝いに進む)

 

なんという気持ちのいい雪山歩きでしょう。昨日の雨にめげずに、今日もここまで足を延ばしてきて本当に良かった。「近くの山」なんて検索してごめんなさい!

 

さて、ここらでアイミ君のインスタ用にカッコつけ写真でも撮ることにしましょうか。

f:id:arakabu625:20210425200147j:image(カッコつけるアイミ君)

f:id:arakabu625:20210425200224j:image(カッコつけるアイミ君を撮る私)

なにやら黒い雲が山頂の方から涌き出てきました。先を急ぎましょう。

f:id:arakabu625:20210425204639j:image(えっほ、えっほ)

 

熊穴沢避難小屋に着きました。まだ1/3くらいは雪の中ですね。

f:id:arakabu625:20210425204937j:image9:41

次のポイントである《天狗の留まり場》を目指してさらに歩きます。

f:id:arakabu625:20210425205855j:image(冷たく強い風が吹き抜ける)

 

■雪と風

西の方から黒い雲が覆い被さってくると、時折雪混じりの強い風も吹き付けるようになりました。ハードシェルのフードを深めにかぶり、前立てで顔をガードしますが、冷たい雪はバチバチと頬を叩いてきます。

 

途中、岩が露出した鎖場に苦労する箇所がありました。他にも何ヵ所か雪が完全に解けた岩場もありましたが、登山道(というか、先行者の踏み跡)はほぼ雪道でした。アイゼンは12本爪が必須だったと思います。念のためにピッケルも持って来てはいましたが、これはストックで十分だったように思いました。

f:id:arakabu625:20210426124148j:image(アイゼンをつけたまま登ります)

 

《天狗の留まり場》を何時頃に過ぎたのかは定かではありませんが、雪混じりの強い風は止まず、笹が露出した雪の窪みでしばらくビバークをするほどでした。

f:id:arakabu625:20210425211440j:image(10:57 ビバーク中)

他の人のブログでもよく書かれていますが、強風って写真では全然伝わりませんね。

 

このまま山頂を目指すか、それとも引き返した方がいいのか、私なりに慎重に天候の変化を読み取ろうとしましたが、わかるはずもありません。ただ、今以上さらに風が強くなる気配はなく、黒かった雲も幾分か薄くなって、一瞬ですが青空も見えるようになったので、「とりあえず、肩ノ小屋まで行ってみよう」とみんなに声をかけました。


f:id:arakabu625:20210425213017j:image(11:28 肩ノ小屋着)

f:id:arakabu625:20210425213122j:image(肩ノ小屋からの景色)

 

■山頂へ

いよいよ山頂(トマの耳)まであと少しになりました。目指すピークはあの岩が露出した辺りでしょうか、よくわかりません。

f:id:arakabu625:20210425213506j:image(行く手を見上げ、)

f:id:arakabu625:20210425213642j:image(振り返れば、3人と肩ノ小屋)

 

もうすぐ山頂です。標識も小さく見えてきました。山頂付近はほぼ全面に岩が露出しているようです。

f:id:arakabu625:20210426123356j:image(ふぅふぅ)

 

11時44分、ようやく谷川岳トマの耳山頂(1,963m)に到着です。登山口の天神平から3時間15分といったところでした。

f:id:arakabu625:20210426123726j:image11:44

久しぶりの山頂集合写真もパチリ。

f:id:arakabu625:20210426123936j:image(やったー)

f:id:arakabu625:20210426124719j:image(山頂で転び、膝を打ったちかちゃん)

f:id:arakabu625:20210426124818j:image(山頂からの眺望)

 

■下山

11時55分に下山開始。今回はここまででミッション完了とし、オキの耳は諦めました。天候、疲労等を考慮した結果です。

 

しばらくすると雪と風がまた強まり、気がつけば雪面は新雪のように真っ白になっていました。先頭を歩く私は、とにかく先行者の踏み跡を見失わないように集中して歩きます。しかし、それでも踏み跡は時に枝分かれしていたりするので、登ってきたのとは違うルートを進んでしまうことがありました。そういう時に後ろから「違うんじゃない?」と声がかかり、ルートを修正したりすることは雪山に限らずしばしば起こることです。単独登山がいかに危険かということがわかりますねぇ。

 

急な斜面を無事に下りきり、緩斜面に出ましたが、雪と冷たい風に首をすくめているせいか、みんなひたすら無言で歩きました。

f:id:arakabu625:20210426200328j:image(ザクッ)

f:id:arakabu625:20210426200351j:image(ザクッ)

f:id:arakabu625:20210426200406j:image(ザクッ)

そして、最後の急斜面を下りきって、ようやく登山口の天神平まてたどり着くことができました。

f:id:arakabu625:20210426200649j:image(13:51 ゴール!!)

 

下山はトマの耳から約2時間、夏と同様の所要時間となりました。お疲れさま~。

 

平地は春真っ盛りの4月中旬ですが、谷川岳はまだ冬が終わっていませんでした。春の雪山の楽しさと難しさの両方をプチ体験できた今回の山旅ではなかったかと思います。昨日の雨に懲りず、今日の再チャレンジに私の尻を叩いてくれた他の3人、ありがとー!

 

(終わり)

次はゴールデンウィークに行く北アルプス唐松岳です。乞うご期待!

 

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