'19年4月13日 春の奥秩父 雪の笠取山!
(最後の急登へ向かう私)
⛰️岳友アイミ君を誘って、早春の笠取山(1,953m)へ行ってきました。二人だけの山行は昨年6月の雲取山以来です。
アイミ君には朝一番の電車で浦和まで来てもらい、そこから私の車で笠取山へ向かいました。一般道を使って片道100㎞、奥多摩の最奥にある登山口・作場平を目指します。
週間天気予報ではまずまずのいい天気でしたが、三日前に冬に逆戻りしたかのような寒波と低気圧が関東にやって来て、奥多摩の山間部でも新たに20~30㎝の積雪があったといいます。この冬に何度か雪山を経験していたので、山の積雪は全然気になりませんが、登山口までの路面凍結や積雪が心配です。しかし、5㎞ほど続く林道は路肩に雪は残るもののチェーンを着けるほどのこともなく、無事に作場平の駐車場に到着しました。
10:15 作場平口駐車場、いい天気
◼️作場平口~ヤブ沢峠
10時半頃に入山し、100mほども歩くと登山道は一面雪におおわれてきました。(結局このあと山頂まで雪は深まるばかり)
私たちが向かったヤブ沢峠ルートは、その名の通りヤブ沢という名前の沢沿いを歩きます。沢にかかっている木の橋を10回くらいは渡ったでしょうか。夏は涼しげな散策ができそうな道でした。
こんな橋を何度も渡った
このヤブ沢峠を経由して笠取山に向かうルートはずっと緩やかな傾斜だったので(登るほどに雪は深くなっていくのですが)、用意したチェーンスパイクを着けずに山頂直下までたどり着くことができました。下りはそうはいきませんけどね。
二人ともノーアイゼン、ノーストック
危険な箇所もなく
木の枝葉に積もっていた雪が春の陽光を受けて溶け始め、そこかしこでバサッ、バサッと落ちる音がしています。鳥のさえずりと沢の流れる音、そしてこの雪が落ちてくる音をBGMにして、アイミ君ととりとめのない話をしながら雪道を歩いているときでした。右手の斜面の方で、「ガサッ、ガサガサッ」と雪が落ちる音とは違う音がして、私たちは立ち止まりました。
「猿?いや、鹿だ!」後ろからアイミ君の声が。「どこどこ?」と私。
アイミ君が指差す山の斜面に、2頭の鹿がいました。
こっちを見てる
2頭の小鹿が動きを止めてこっちを見ています。動画を撮り始めたらしいアイミ君が「動け動け」と言ってますが、じっとこっちを見たまま動きません。しばらくして1頭が斜面を駆け上がり、見えなくなりました。
鹿肉を食べてみたいなぁなどと不謹慎な話をしながら歩いていると、行く手の空が大きくなってきました。そろそろヤブ沢峠かな。
ヤブ沢峠に着きました。登りはじめてから1時間と25分、疲れはありません。
11:55 ヤブ沢峠
ヤブ沢峠のベンチに座っていた人が、ワカンを着けています。スノーシューの踏み跡もあったし、やっぱり今日は雪山装備なんだな。
◼️ヤブ沢峠~山頂
少し休憩を取ってから、また歩き始めました。周りは雪だらけなのに、暑くて薄手のジャケットも脱ぎました。ヤブ沢峠からも相変わらず緩やかな道が続くので、アイゼン無しで全然大丈夫です。
滑らないようにと
20分ほどで笠取小屋へ着きました。期間営業の山小屋なので、今はまだ営業していません。きれいなバイオトイレがありました。ここは山梨県ですが、東京の重要な水源地域なので、東京都の水道局が管理しているみたいです。バイオトイレも水道局が作ったものでした。
12:21 笠取小屋
隣接しているテント場にテントが一つ張られていました。20張りくらいはいけそうなテント場です。雪山テント泊もこういう所だったらトライできるかなー。ダウンパンツやダウンシューズ、下手すりゃシュラフまでまた新たに買わなくちゃいけないし、当分は我慢我慢と。
笠取小屋から15分ほどで小高い丘が見えてきました。あれが《小さな分水嶺》でしょう。
丘の上には三角の石柱が建っていました。この丘よりも東側に降った雨は荒川となり、東京湾に注ぎます。西側に降った雨は富士川として甲府盆地の方へ下り、いずれは太平洋へ。そして、南側に降った雨は多摩川となり、奥多摩湖を経て東京都民の喉を潤すのです。(みたいな説明書きがありました)
裏に富士川と彫ってある
さあ、ここまで来れば笠取山山頂までもう少しです。分水嶺の丘を下ってしばらくすると、目の前に最後の急登の壁が迫ってきました。笠取山といえばこの姿。雪が余計ですが、これもまた一興。
さあ、やっと山登りだ~
チェーンスパイクを装着していると、若い男女のグループが下りてきて、「登りは大変だったけど、下りはあっという間ですね」と満面の笑みで話しかけてきました。雪があることで少し童心に帰るのでしょうか、とても楽しそうです。
アイミ君も登ります
中腹辺りで、今度はロシア語っぽい言葉でワイワイ・キャーキャー騒ぎながら下りてくる白人女性のグループとすれ違いました。大きなお尻の女性が尻餅ついて滑ってます。こちらのグループも本当に楽しそうでした。
そんなこんなで、私たちも無事に山頂に到着。笠取山の山頂では久しぶりの好天に恵まれたせいもあってか、予想外の絶景が広がっていました。
13:22 山頂(奥の方に富士山が見える)
これほどの景色を予想していなかった私は、多分アイミ君に(そこまで言うほどのもんでもないやろ)と思われたに違いないくらい凄い景色だと力説していました。山が幾重にも重なり連なって、その奥にでーんと富士山がそびえている。目の前に広がる景色に私は心底感動したのです。
「さっきのロシア人たちも、この景色が見れてさぞや満足してくれたことやろう!よかった!よかった!」としばらく興奮していました。
実際はこの百倍凄かった!
ところで、上の写真でも見れますが、富士山の左手に美しい三角形の立派な山が写っています。「あれがみんなで登った大菩薩嶺だね」と言う私に、いや絶対違う、方向的にあり得ないとアイミ君が異を唱えました。山頂での山座同定はアイミ君の得意とする分野なのですが、今回ばかりは私も自信があります。って、笠取山の山行ブログに写真付きで説明があったのをつい最近読んだだけなのですが。
アイミ君に「ブログにそう書いてたよ」と言っても、「いんや、違う。そのブログが間違ってる」と頑として聞き入れません。アイミ君はかつて一人で大菩薩嶺の周りの山を縦走したことがあるので、よく知っているのでしょう。
矢印の山
ま、それはさておき、ぼちぼち昼ご飯です。私はメロンパンとコーンクリームスープという軽めのメニュー。実は昨日会社の送別会で深酒してしまい、意識を失って横浜線をなん度も往復してしまう失態を演じたばかり。まだ二日酔いが続いていて、イマイチ調子が出ないのです。お腹の具合も怪しげなのでした。
う~、お腹が…
二人でいろんなポーズの写真を撮り合いました。いいおっさんがよくやります。
実はこの山頂は笠取山の最高峰ではありません。すぐ隣に笠取山(東)という頂がありまして、標高1,953mはそっちの高さです。今日の予定ルートはそこを回って反対側へ少し下り、水干(みずひ)と呼ばれる多摩川の最初の一滴が落ちるところを見て帰るというものです。その山頂へは10分かからずに着きました。
12:59 とても狭い山頂
水干に向かうため、さらにその先を下り始めたら途中で踏み跡がなくなりました。地図にははっきりとルートが書かれているのですが、降り積もった雪がそのルートを完全に消しています。少しだけ進んでみましたが、やっぱりちょっと怖い。アイミ君と協議の末に引き返すことにしました。残念!!
◼️下山
元の山頂に戻り、ストックを出して登ってきた急坂を下ることにします。時刻は14時半近く、山頂付近の雪はかなり溶け始めていて、泥だらけのぐちゃぐちゃになっていました。ズルッズルッとかなりスリッピーです。「こんなところで転びたくないなー」とアイミ君が後ろで言ってました。
14:56 お日様も低くなってきた
帰りはヤブ沢峠まで行かずに、笠取小屋から直接登山口へ下るルートを取りました。少しショートカットになります。
下り始めてまもなくのことです、私のすぐ近くでバサバサバサッ!と大きな音がしたかと思うと、大きな鳥が目の前に飛び出して低く飛び去っていきました。キジでした。(あー、ビックリした)鹿の次はキジか、もしかしたら今日は動物に出会いやすい日かもしれん、と念のために熊鈴を取り出しました。
15:30 下りの途中で休憩
16時半、冬眠明けの熊と出くわすこともなく、山頂から2時間ほどで元の登山口まで戻ってくることができました。すると、登山口にあった地図をじーっと見ていたアイミ君が、「ごめん、やっぱりあれは大菩薩嶺だった」と言いました。イェーイ✌️
地図を見るアイミ君
すっかり遅くなりました🚗💨
帰りに丹波山温泉に寄ろうということになり、「電波が入るようになったら、日帰り温泉調べてね」と託したアイミ君はすでに助手席で爆睡中。途中で丹波山の道の駅の看板に温泉マーク♨️を発見した私は一路道の駅へと車を走らせました。
温泉で今日一日の疲れを落として外に出たら、山の向こうがきれいなピンク色に染まっています。
「よし、今回のブログはこの夕焼けで締めよう」先を歩くアイミ君の背中にそうつぶやいて、スマホを取り出しました。
18:27 カシャッ
早春の笠取山で、思いがけず雪山登山を楽しんだ今回の山旅。やっぱり天気がいい日の山登りは最高です。
アイミ、また行こうな!
終わり