'19年8月24日~25日 南アルプス 鳳凰三山でバテる!(前編)

f:id:arakabu625:20190827074333j:image(有名なオベリスクをバックに)

⛰️金曜日の仕事帰りの電車の中ではたと思い立ち、すぐさまLINEで妻に了解を取りつけて、行って参りました南アルプス・テント泊の旅。

 

今回目指す山は、ガイドブックには南アルプスの入門編として紹介されることもある、鳳凰三山です。果たしてどんな山旅となったでしょうか。よろしければ、ご一読のほどお願いいたします。

 

■出発

急に思い立った山行ですが、こんなこともあろうかとテント泊の荷造りはすでにほぼ完了していました。あとは予備のバッテリーをフル充電させ、プラティパスとナルゲンボトルに水を入れてリュックに突っ込むだけ。そうそう、今回は会社帰りにセブンイレブンでパックに入った豚ロースのしょうが焼きとポテサラを買い、家にあったレンジでチンするご飯も追加で詰め込みました。ホーボージュンさんが山雑誌で紹介していた《コンビニでまかなうオレの山ご飯》の真似です。

「レンジがなくてどうするの?」と妻は驚いてましたが、こんなの湯せんで充分なのだ!

 

すべての準備を終え、布団に入ったのが1時過ぎ。なんとか4時半には起きて、パラパラと雨が降り始めた北浦和を5時に出発しました。🚗💨

 

■青木鉱泉鳳凰小屋

鳳凰三山を巡るルートはいくつかありますが、今回の私の計画は次のようなものです。

 登山口:青木鉱泉

 駐車場:青木鉱泉内(750円×2日分)

 登り:ドンドコ沢ルート

 下り:中道ルート

 宿泊:鳳凰小屋(テント一張り1,000円)

青木鉱泉を起点とした周回コースになります。他には御座石鉱泉や夜叉神峠から登る人も多いようですね。

 

8時50分、山の中にひっそりと佇む青木鉱泉に到着。2日分で駐車料金1,500円を支払いました(ちょっと高い)。
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ここですでに標高1,150m。今日テントを設営する鳳凰小屋は標高2,380mなので、まずは1,230mを一気に登ります。コースタイムは6時間となっていますが、ドンドコ沢ルートは途中にいくつもある滝が有名なので、滝を見物しながらコースタイムに収まればいいなと思ってスタートしました。(9時20分)

 

ドンドコ沢をドンドコ・ドンドコ登ります。ほぼ1年ぶりのテント泊装備満載のバルトロはやっぱりずっしり重い。1日目はこの重さに慣れなくて、何度かバランスを崩して後ろに倒れそうになりました。

f:id:arakabu625:20190827200832j:imageドンドコ、ドンドコ

 

ドンドコ沢沿いの登山道では10回くらい渡渉したでしょうか。一つ一つの渡渉は、浅い沢をひょひょひょいと渡るのではなく、少し緊張を強いられるような急流だったり沢の深さだったり岩の大きさだったりしました。

 

植生はブナやカラマツの森が続き、ある程度の標高からは辺り一面シラビソの森になります。苔むした森の様子は八ヶ岳のそれと雰囲気がとても似ている気がしました。

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滝は順番に《南精進の滝》《鳳凰の滝(疲れてきたので寄らず)》《白糸の滝》と続き、最後に《五色の滝》で締め括ります。五色の滝は久々に見入ってしまうような見事な滝でした。見ず知らずの他の登山者の方とも「いい滝ですねー」なんて言い合ったりして。

f:id:arakabu625:20190828204316j:image五色の滝

 

山から戻ったら休みなしで出勤なので、今回の私の隠しテーマは、省力登山で疲れを月曜日に残さない、というものでした。なので、最初からダブルストックを使っています。それでも重いバルトロを担いで急坂を登り続けているとしんどいので、いつも以上にゆっくりペースで歩きました。

f:id:arakabu625:20190828205450j:imageシラビソの森

 

登り始めて4時間を超えた辺りでやっと視界が開けてきました。地蔵岳オベリスクも小さく見えます。

f:id:arakabu625:20190828205759j:image山頂にポチっと

 

14時15分、青木鉱泉から5時間かけてようやく本日の宿、鳳凰小屋のテント場に到着しました。コースタイムよりも1時間早く着いたことになりますね。鳳凰小屋は小さな山小屋に見えましたが、後で調べてみると150人のキャパがあるようです。ちょっと中を覗くと、薄暗くて古い印象を受けましたが、小屋の外にはテーブルが沢山あって、皆さんとても寛いでいる様子がうかがえました。

f:id:arakabu625:20190828210406j:image鳳凰小屋の様子

f:id:arakabu625:20190829182939j:image南アルプス天然水が出っぱなしの水場

 

小屋のお兄ちゃんにテントの設営場所を出入口の向きまで細かく指定を受け、その場所に久しぶりのステラリッジを建てました。私が到着するまでにすでに7割くらいは埋まっていて、私の後にさらに6組ほどの登山者がテントを張っていました。天気が良かったのでさらにテントは増えると予想したのでしょう。張り縄は禁止、ペグは四隅だけという細かい指導も入っていました。

f:id:arakabu625:20190828211650j:image私のステラリッジ

 

テントの中で1時間ほど仮眠し、それからすることもないので早々と晩ごはん作りに取り掛かりました。レンジでチンするご飯と豚のしょうが焼きを湯せんし、ポテトサラダを副菜にして簡単スタミナ丼の出来上がりです。缶ビールをシュパッと開けて、今日1日に乾杯!

f:id:arakabu625:20190828212425j:image16:26 早い夕食

 

ご飯を食べ終わったらやっぱりすることもないので、18時には就寝。何度か目を覚ましたりを繰り返していると、LINEでまりちゃんから『星空は見える?』と聞かれて、そういえばこの鳳凰小屋は星空観察会が催されるほど星が良く見えることを思い出しました。それで、トイレに行くついでに夜空を見上げましたが、かろうじて1個だけ星が見えるくらいの曇り空。明日の天気を心配しながら、シュラフに潜り込んだのでした。

 

鳳凰小屋~地蔵岳

翌朝。3時過ぎに周りの物音で目が覚めました。おそらく地蔵岳の山頂でご来光を拝む人たちが身支度を整えているのでしょう。物音から察するにかなりの人数が出発していったようです。往復2時間かけてまた戻ってくる人が多いみたいなのですが、みんなどんだけ元気者なんだと感心します。

 

私はそんな体力も気力もありませんので、ゆっくり朝ごはんを食べて、テントの撤収を終え、6時過ぎにようやくテント場を後にしました。

f:id:arakabu625:20190828214830j:image6:00 撤収完了

f:id:arakabu625:20190828215026j:image朝の気温は9℃

f:id:arakabu625:20190828215313j:image6:08 出発

 

再びシラビソの森に分け入ります。地蔵岳まではコースタイムで80分。空を見上げると、木々の間を通して見えるのは青空なのかどうなのか。
f:id:arakabu625:20190828215735j:image晴れるかなー

 

足下が花崗岩の崩れかけのようなざらついた岩場になってきました。道は相変わらずの急登で、すぐに息が上がってきます。たまらずウィンドシェルを脱ぎ、長ズボンの下半分を切り離しました。

 

再び森の中を歩いていると、登山道は細かな岩粒のザレ場に変わり、パアッと視界が開けてきました。そして、行く手を見上げると、真っ青な空をバックに巨大な岩の尖塔が見えてきたのです。

f:id:arakabu625:20190828222708j:imageついにオベリスク

 

どこまでも続くかのようなザレ場の先に異様な形の岩が盛り上がっているように屹立しています。こんな景色これまでに見たことがない。

f:id:arakabu625:20190828220906j:image少しずつ

f:id:arakabu625:20190828222816j:image大きくなってくる尖塔

f:id:arakabu625:20190829133709j:imageなんだこれは

 

ザクッザクッっと砂地に足を埋めながら、一歩一歩登っていきます。見たことのないような岩の塊はどんどん大きくなってくる。私はこの時はっきりと自覚しました。

(やっぱり俺の山登りの楽しみはこれなんだな。見たことのないような凄い景色を見ること、俺はこれが楽しみで山を登るんだ。これが登山の醍醐味なんだ。)

 

山の奥深くに分け入り、雲より高く登っていくと、そこにはまだ見たことのない凄い風景が広がっている。その場所には歩いてしか辿り着けない。なんだかワクワクするじゃないですか。

 

7時13分、雲ひとつない快晴のなか、鳳凰三山の一峰目、地蔵岳(2,764m)到着です。

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辺りは(ここは砂浜か?)というくらい、白い砂地が広がっていました。安産祈願のお地蔵さんが沢山並んでいます。

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近づいてみると、お地蔵さんの向こうに見えてきたのは、あれは…

f:id:arakabu625:20190828224404j:imageあの山は

f:id:arakabu625:20190828224513j:imageか、か、か、

f:id:arakabu625:20190829133805j:image甲斐駒ドーン!!

 

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