´20年11月5日 武甲山~小持・大持山周回ルートで秋を満喫!

f:id:arakabu625:20201106065336j:image(秋色に染まる武甲山

⛰️秋晴れのもと、新しく購入した登山靴の慣らしを兼ねて秩父武甲山へ行ってきました。秩父のシンボルと言われている武甲山は、石灰の採掘によって削り取られた山肌が私の故郷にある山・香春岳のかつての姿に似ているため、私のお気に入りの山です。これまでに単独では二度、縦走部でも一度訪れています。今回は深まる秋の山の中に分け入り、一人静かな山歩きを楽しむことができました。単独ですし、何か面白い出来事があったわけでもありませんが、よろしければ以下ご一読のほどお願いいたします。

 

■やっぱり武甲山

登山靴を新調した。スカルパのリベレHDというモデルだ。3シーズン用の靴はこれまでにキャラバン→モンベルモンベルと履いてきて、これが4足目になる。3足目のアルパインクルーザー2000はまだ充分に現役で、これからは登る山によって使い分けることになるだろう。今回の靴選びについては、また別項を立てて報告させていただきたいと思っている。

f:id:arakabu625:20201106105939j:image(リベレHD、かっけー)

 

11月に入り、関東近郊の低山でも紅葉の便りが届けられるようになってきた。先週末には縦走部のアイミ君が大菩薩嶺でテント泊を行い、秋空に映える富士山の写真を送ってきてくれた。これはもう俺も新しい靴を履いて行くっきゃない!ということで、ここ数日はどの山に行こうかと、そればっかりを考えていた。

 

(やっぱり武甲山だな)と決めた理由は、我が家から比較的近い(下道で70kmくらい)ことや登山口に車で乗り入れられることの他に、新しい靴を試すのに丁度いい適度なアップダウンがあり、まあまあのロングルートが取れるということもあった。コースは、起点となる一の鳥居登山口から武甲山~小持山~大持山を巡って再び一の鳥居に戻ってくる周回コース。過去三度の武甲山登山もすべて同じコースを歩いている。

 

■出発~武甲山

9時に一の鳥居に到着。鳥居周辺の駐車場(キャパは30台ほどか)は平日だというのにもうすでに9割ほどが埋まっていた。

f:id:arakabu625:20201106111304j:image(狼の狛犬

f:id:arakabu625:20201106111443j:image(真新しい靴の紐をキュッと絞めて)

f:id:arakabu625:20201106111714j:image(9:16 いざ入山)

 

リベレは靴底に固めのシャンクプレートが入っているため、平地では少し歩きづらい(すぐに慣れるが)。しかし、登山口からのアプローチで少し道に傾斜が出てきただけで違和感はゼロになった。さあ、これから山の中をぐるりと一周して帰ってきたときにどうなるか。とりあえず滑り出しは順調だ。

 

登山口からしばらくは沢沿いの道を歩くが、昨年の台風19号の被害を受けて何ヵ所かに迂回路が作られていた。誰が整備してくれるのか知らないが、有り難いことである。

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気温は登山口辺りで7℃くらい。少し手がかじかむので薄手のグローブをつけた。山登りの朝はこれくらいの気温で丁度いい。

f:id:arakabu625:20201106181629j:image(沢沿いを行く)

 

十八丁目と彫られた丁目石の立つ不動滝を経て、これより先は神域であることを示す石碑を横目に杉の林立する薄暗い山道へ入って行く。

f:id:arakabu625:20201106182637j:image(9:46 不動滝)

f:id:arakabu625:20201106182729j:image(これより神域)

 

今回改めて気付いたが、一の鳥居の登山口からのルートでは、山頂までずっと薄暗い杉の森が続くことになる。つまり、この道の往復だけでは山の楽しさはあまり味わえないということだ。山を始めた頃はどんな低山のどんな森でも、そこが山の中ということだけで楽しかったのにな。贅沢になったもんだ。

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周りは全部杉の木立。

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登山口から1時間ほとで、その杉の大ボスが立つ小さな広場に着いた。

f:id:arakabu625:20201106184008j:image(10:16 標高はジャスト1,000m)

f:id:arakabu625:20201106184026j:image(大ボス)

ここまでのところリベレHDは完璧だった。スカルパがソックスフィットと謳う、ソックスを履くように足全体を柔らかく包み込むフィット感で、足のどこにも不快な当たりがない。堅牢な靴底は木の根やガレ場の凸凹道を歩いたときの疲れを最小限にしてくれる(気がする)。そして、このクラスの靴にしてはメチャクチャ軽い。

 

行く手が明るくなってきた。もうすぐ山頂のようだ。

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ほどなくして足下の丁目石も五十一丁目となり、秋色に包まれた武甲神社(武甲山 御嶽神社)が見えてきた。ここまでのんびり歩いてきて1時間と45分といったところだ。

f:id:arakabu625:20201106202546j:image(10:58 武甲神社)

神社の前の5~6段ほどの階段脇に、最後の丁目石となる《五十二丁目》の刻印を見つけた。

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神社の裏手に回り、少し上ってフェンスに囲まれた山頂に到着。

f:id:arakabu625:20201106202950j:image(11:02 標高1,304m)

過去三度の山頂はいずれもガスっていて眺望ゼロだったが、今日は絶景が広がっていた。右手から順に筑波山赤城山谷川連峰妙義山浅間山。馴染みの山々が一望だ。そして眼下には秩父の街全体が見渡せる。ということは、秩父の人たちは折に触れこの武甲山を仰ぎ見ているに違いない。武甲山秩父のシンボルというのも納得である。

f:id:arakabu625:20201106203630j:image(彼方に赤城山

f:id:arakabu625:20201106204829j:image(眼下の秩父市街)

 

■小持山へ

時計を見るとまだ11時。お昼には早いので、紅葉真っ盛りの山頂をあとに小持山へ向かうことにする。

f:id:arakabu625:20201106205359j:image(山頂の紅葉)

 

武甲山には悪いが、今日の周回コースのメインはここからだ。杉が林立する味気ない森が終わり、この先は広葉樹の森が小持山から大持山を経て妻坂峠までたっぷりと続く。アップダウンはあるが、俺の大好きなルートだ。

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まずは長い下りの前に靴の紐を絞め直す。靴の評価もこれからが本番である。

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アルパインクルーザー2000よりもたわみの少ない靴底のため、下りの足の着地に少し戸惑いを感じたがそれもすぐに慣れた。下りの時、これまでは靴の中で足が前にずれるのを親指で踏ん張ってこらえることが多かったが、靴のフィット感と靴底の堅牢さを信じて親指に力を入れずに下ってみた。親指の代わりに足の甲と足首周りを締め付けている紐が俺の体重を受け止めている。これで最後までもつだろうか。

 

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絨毯のように敷き詰められた枯れ葉を踏みしめながらひたすら下る。登山道の左側は杉の薄暗い森が、右側にはブナやミズナラの黄色と茶色に時折モミジの赤が混ざった明るい森が広がっている。と思ったら、いつの間にかカラマツ林になっていたりした。ああ、秋の山歩きは楽しいなー、なんて思いながら歩いている。

f:id:arakabu625:20201106213604j:image(カラマツは針葉樹なのに紅葉して落葉する)

 

小持山への登り返しの途中でふと後ろを振り返ったら、今下ってきたばかりの武甲山の姿が目に飛び込んできた。緑色の針葉樹の森と黄色い広葉樹の森がハッキリと分かれている。俺はあの境界線の稜線を下ってきたのだ。

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ちょっと疲れてきた頃に小持山(1,269m)の山頂に到着してホッとする。もう腹ペコだ。

f:id:arakabu625:20201106215559j:image(12:28)

f:id:arakabu625:20201106220114j:image(昼ごはんはアルファ米レトルトカレー

小持山の山頂からも武甲山がよく見えた。

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■大持山から妻坂峠へ

小持山から大持山へ続く道は岩場や痩せた尾根の箇所があるので注意が必要だ。何年か前にこのルートで開かれたトレラン大会では確か死者も出ている。

 

大持山の手前にはこの周回コース随一の展望が開ける小ピークがあり、ここは俺の大のお気に入りの場所だ。狭くて少し足がすくむほどの高度感があるが、一気に視界が広がって気持ちいい。是非一度訪れてもらいたいポイント。

f:id:arakabu625:20201106221746j:image(遠くに両神山が見える。右奥には浅間山もうっすらと)

f:id:arakabu625:20201106221617j:image(足元が切れ落ちて、吸い込まれそう)

小持山から40分足らずで大持山(1,294m)に到着。スポーツドリンクを一口飲んで次へ向かうことにする。

f:id:arakabu625:20201106222311j:image(13:49)

 

大持山から下ってすぐのところ、大持山の肩とでもいうような場所でこれまで気が付かなかった小さな立て札を見つけた。朽ちた丸太に打ち付けられたその板を回り込んで覗いてみると、《←富士見の丸太》と書いてある。

f:id:arakabu625:20201106223611j:image(ん?)

ということは、富士山が見えるのかな。まさかこんなところからねー、なんて思いながら木立の向こうに目を凝らしてみたら、

「あっ、富士山だ!」

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f:id:arakabu625:20201106225502j:image(ズーム!)

木立の向こうの山際に富士山がかろうじてその頭を覗かせていた。なんだか得した気分だ。

 

大持山を下り始めてから妻坂峠に着くまでの1時間ほどは、随所に紅葉を満喫できる道が続いた。紅葉した山を外から眺めるのもいいが、外光に透かされた紅葉の美しさを下から愛でることができるのは、山の懐に入った登山者だけの特権だと思う。

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紅葉に囲まれて幸せそうな俺。
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直滑降のような急坂をなんとかしのいで、本日最後の中継地である妻坂峠に到着。時刻はもう15時になろうとしていた。

f:id:arakabu625:20201107002612j:image14:58

 

妻坂峠には俺が心惹かれるお地蔵さまがある。ここに来ると必ず手を合わせて写真を撮るのだが、今日はお地蔵さまの前に膝まづき、じっくり顔を見て、その顔に触れてみた。心の中でいろいろ話しかけていたら、なんだか鼻の奥がツンとしてきた。

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別れ際にプラティパスに残っていた水を掛けたら、少し微笑んでくれたような気がした。

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■下山

妻坂峠から出発地点の一の鳥居までは40分足らずで帰りついた。6時間半の山旅が無事に終了である。よかったよかった。
f:id:arakabu625:20201107005224j:image(15:42 一の鳥居前)

 

ところで、新しい登山靴・リベラHDの履き心地はどうだったか。結論としては、下りでもどこも痛くならず非常に満足いくものだった。次はもっとガレ場の多い道や、重いテント泊装備を担いでの歩き心地を確かめてみたい。

f:id:arakabu625:20201107011445j:image(お疲れ~)

 

《終わり》

過去の武甲山山行レポート

18年9月9日

19年3月30日

 

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