'19年6月1日 奥秩父 乾徳山で岩登り!(槍ヶ岳への道)
⛰️初夏の暑さの中、奥秩父の武骨な秀峰・乾徳山(2,031m、日本二百名山)へ縦走部で行って参りました(私だけ2回目です)。20mを超える山頂直下の岩登りを、高所恐怖症のちか部長は果たして制覇できたのでしょうか!?よろしければ、ご一読のほど、よろしくお願いいたします。
■高所恐怖症を克服せよ!
今夏に計画している北アルプスのシンボル・槍ヶ岳山行に向けて、最大の課題は明白でした。それは、最後の頂上直下に待ち受ける垂直(に見える)鉄梯子の登り降り。数十年来の筋金入りの高所恐怖症である私とちかちゃんにとっては夢にまで出てくるほどの心配事なのです。
山登りを始めて一人で奥武蔵の山を手当たり次第に登っていた頃は、槍ヶ岳なんて夢のまた夢。想像すらしたことはありませんでした。それが迎珍縦走部を結成して山仲間ができたことで八ヶ岳や北アルプスまで出向くようになり、いつかは槍ヶ岳と思うようになりました。燕岳に向かう稜線で生まれて初めて槍ヶ岳を見たときのことは今もよく覚えています。
その槍ヶ岳に今夏縦走部で挑戦することになりました。槍ヶ岳に限らず、これから3,000m級の山にトライするためにはこの高所恐怖症をなんとかせにゃいかんなーということで、私は1年以上前から意識的に訓練(というほど大袈裟なもんではないですが)と経験を重ねてきたつもりです。
奥武蔵・伊豆ヶ岳の男坂、
北岳・八本歯のコルの丸太梯子、
乾徳山のラスボス・鳳岩
伊東・城ヶ崎海岸の橋!
(webより)
などの難所を常に「こんなところでビビってたら話にならんやろ」と槍ヶ岳の最後の鉄梯子をイメージして登ったり渡ったりしてました。(マジです!)
昨年末に家族と行った城ヶ崎海岸の橋の上では、訓練と称して一人散策もせず、欄干から恐る恐る顔を出して眼下の荒れた海を怖くなくなるまでひたすら見下ろしてました。(マジです!)
成果も少しずつ出てきたように思います。先日、我が家の3階のベランダから下を覗いてみたら、股間がモゾモゾして身震いはしたものの、以前のように全く下が見れないということはありませんでした。これまでだったら、吸い込まれそうになって気分が悪くなっていたほどの私がです。手すりに近付くのさえ避けていた私がです。
で、乾徳山なのでした。
高所恐怖症の克服には、克服しようという意思と経験の積み重ねが大事だということがわかってきました。乾徳山のあの最後の岩登りは、ちかちゃんにも貴重な経験となるでしょう。
■乾徳山へ
さて、当日。最寄りの駅から5時22分発の電車に乗って、ひとまずJR高尾駅に向かいます。私はゴルフもやるんですが、山登りの出発時間はゴルフよりもさらに早いなーといつも思います。前回の檜洞丸の時は、確か4時55分の電車に乗りましたもんね。
高尾駅でメンバー3人と合流し、7時06分発の中央本線甲府行きに乗り込みました。もう周りは登山者だらけです。下車した塩山駅前でバスに乗り換えるのですが、すでにこのような長蛇の列ができていました。
8:19
30分ほどバスに揺られ、9時過ぎにようやく乾徳山の入り口となる徳和に到着。
9:09
公園で準備を済ませ、
予定通りの9時20分頃に徳和を出発しました。
■山頂へ
今日のコースタイムは正味7時間20分。最終のバスは今から7時間30分後に出ますので、食事や休憩の時間を考えると、コースタイム通りのペースではバスに間に合いません。多くのブログでも、乾徳山は公共交通機関のみでは日帰りが難しいと書かれている通りです。
民家を抜け、林道を歩いてようやく登山口に着きました。
楽しそうなちかちゃん
樹林帯を快調に登ります。前半はカラマツの多い森のように感じました。
手前からまり、ちか、私
スタートから1時間40分で錦晶水という水場に到着。ここで大休憩を取ります。水量の豊富な冷たい湧き水でバシャバシャ顔を洗っていると、「いいわねー、男子は」とちか&まりの声が聞こえました。高校の同級生ならではですね、男子って…。
錦晶水 10:59
錦晶水の水場を出発してしばらくすると高原の趣のある開けた場所に出ました。もうすぐ中間地点の国師ケ原でしょう。後ろからアイミ君が「あれが乾徳山?」と一度登ったことのある私に聞いてきました。その声に顔を上げると、木々の間から凛々しい山が見えています。間違いありません、あれが乾徳山です。
乾徳山が姿を表した
11時14分、国師ケ原に到着。ここは、今日の8の字ルートのちょうど中間地点。ここで登りと下りが交差します。
白樺の林の中に建つ避難小屋の高原ヒュッテに立ち寄ってみましょう。外観はとても避難小屋とは思えませんね。中もきれいです。
二人分のマットが敷かれていました
とてもきれいな高原ヒュッテですが、唯一女性用のトイレが大変なことになっていたらしいので、ご利用の際はお気をつけください。
国師ケ原を出てしばらくは白樺が美しい高原を歩きます。
白樺林
再び登りになったところで後ろを振り返ると、雲の上に富士山が見えていました。ああ、やっぱり富士山は別格の山だなぁ。
最初にカラマツ林などの樹林帯、次に白樺の高原を抜け、このあと牧草地のような草原に変わり、最後に岩を登る。乾徳山は岩登りばかりが喧伝されますが、実は登山道の変化の面白さがある山です。二百名山だけのことはあるなあと思います。
さあ、その草原に着きました。ここは扇平といいます。扇をひっくり返したようにきれいな八の字の富士山が見えることで付いた名前だと前回のブログで書いたはずですが、メンバーの誰一人知りませんでした。(お前らブログ読んでないだろ!)
今日は富士山の頭しか見えません
草原の風に吹かれてちょっと休憩。標高はもう1,700mを超えました。
さて、いよいよ最終の岩登りブロックに突入するとしましょう。再び樹林帯に分け入ると、足元は岩だらけの登山道に変わってきました。
小さな岩場をいくつかよじ登り、高度感満載の岩壁を伝って、カミナリ岩までたどり着きました。少しの渋滞のあと、私から取りつきます。
カミナリ岩⚡
ちか&まりも続く
カミナリ岩のあとも岩場は続き、
ようやく山頂が見渡せる地点までたどり着きました。残すは最後の鳳岩だけです。
12:55 山頂だ
いよいよだぞ!といいながら鳳岩まで行きましたが、凄い渋滞だったので少し引き返して昼食休憩を取ることに。
少し寒くなってきた
仕切り直して再び鳳岩までやって来ました。本日のメインイベントです。
しかし、お昼ご飯を食べたというのに渋滞はほとんど解消されておらず(休憩中に私たちを追い越して行った人は3人ほど)、岩の下でさらに30分以上待つことに。大人数のツアーの一団が渋滞の原因のようでした。
待ち時間が長かったおかげで、ルートや登り方はじっくり研究できたのではないかと思います。さあ、いよいよ私たちの番ですよ。
私のあとにちかちゃんが取りつきました。
まりちゃんがそのあとに続きます。
頂上から恐る恐る下を覗き込むと、よじ登ってくる二人が見えました。下からはアイミ君が二人を見守っていることでしょう。
そして、全員無事に完登!!良かったね。
山頂は本来さえぎるものがない360度の展望が開けているのですが、今日はあいにく雲が多めでした。それでも目を見張る景色です。
まりちゃん
私
宇宙と交信中のアイミ君
ようやくここまでたどり着いた…。乾徳山の岩だらけの山頂は、私をそんな気持ちにさせてくれるスペシャルな場所でした。夏に行く槍ヶ岳の山頂では一体どんな感情が沸き上がってくるのでしょう。今から楽しみです。
■下山
さあ、ぼちぼち下りましょう。まだしばらくは気の抜けない岩場が続きます。
慎重に慎重に
岩だらけの山頂を背に
樹林帯に入っても足元は滑りやすそうな岩が露出していて、一息つくどころではありません。前回来たときもこの下りに苦労したことを思い出しました。
滑らないように
しばらくすると、ガイドに抱えられた中年女性に遭遇しました。足をひどく捻挫したようでとても痛そうです。鳳岩で渋滞の原因を作っていたツアー客の一人ようでしたが、ガイドさんがいて良かったですね。
途中で鹿を目撃したりしながら、やっと国師ケ原まで戻ってきました。
高原ヒュッテが見えてきた
ここから下山にかかる時間を計算すると、最終バスには到底間に合いそうになかったのでタクシーを手配しました。国師ケ原からは道満尾根を下りましたが、これが地味にきつかったです。足と膝が痛くて痛くて。
17時05分、やっとのことで道満尾根の登山口(下山口)にたどり着きました。
みんないい笑顔
民家の間を抜けて、元のバス停に着いたのが17時15分。山頂直下の鳳岩での渋滞がなかったらバスに間に合ってたじゃん!
■塩山へ、八王子へ
タクシーで塩山駅に向かい、少し時間があったので駅前の食堂に入りました。馬刺しをつまみにカンパーイ!
続いて、八王子の居酒屋でもカンパーイ!
「今日で、ちょっと自信がついたかも」
何処でだったかは覚えていませんが、高所恐怖症のちかちゃんの声が背中越しに確かに聞こえました。
槍ヶ岳への道はまだまだ続きます。
終わり
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