'19年1月20日 赤城山で雪山ビビリ単独行!

f:id:arakabu625:20190123123054j:image

⛰️先週の北横岳に続いて、今週も雪山に行ってしまいました。今回は単独です。登った山は群馬県上毛三山の一つに数えられる赤城山日本百名山)。ここも雪山初級コースとしてとても人気の高い山です。

 

実は、すでに次回(来月)の部活動で赤城山に行くことが決まっていました。しかし、まだ1ヶ月以上も先の話です。北横岳で雪山の面白さの一端を垣間見た私は、(1ヶ月も待てない、雪山行きたい)という気持ちを抑えられません。さりとて、関東から気軽に行ける雪山を赤城山以外には思いつかず、『来月みんなで行くのに、なんで一人で行っちゃうんだ』というメンバーの言葉にならない圧力をひしひしと感じながらも、赤城山行きを決行したのでした。

 

◼️赤城山

なぜこれまで群馬方面の山に注目しなかったのでしょう。やはり赤城山が雪山というイメージが強くて、私の山行対象にならなかったのが理由の一つ。さらに、そこそこ遠いというのが二つ目の理由です。確かに私が住む浦和からの直線距離は、奥多摩や丹沢の山々と比べると赤城山のほうがずいぶん長い(遠い)です。しかし、なんと電車の営業キロ数はあんまり変わらないことを今回発見しました。在来線で約2時間+バスで行けちゃうのですよ。

 

まだ夜も明けやらぬ日曜日の朝、JR前橋駅前を出る赤城山直行バスの出発時間から逆算し、北浦和駅を6:38の京浜東北線に乗りました。あとは高崎線両毛線を乗り継ぐだけです。

 

2時間後、前橋駅の改札を出ると早速おっさんおばさん登山者(自分もれっきとしたおっさんなのに毎回こんな言い方をしてすいません)を何人か見かけました。山登りを始めてから駅前でよく見かける風景です(比率も大体いつも6:4でおばさんが多い)。バスのりばの場所がわからなかったので、4、5人のグループの後について歩いていたとき、私はいつもと違う妙な感じを受けていました。「ん?」

 

(この人たち、ただのおっさんおばさんじゃないぞ…)何故なら、全員のリュックの背には使い込まれたピッケルが差さっていたのです。なかには頑丈そうなカラビナにロープまで腰にぶら下げているおばさんもいます。足元を覗いてみるとこれまた全員が冬靴のように見えました。(なんだなんだ?)と思いながらバス停に並んでいた20人くらいの人たちのリュックをチェックしますと、9割以上にピッケルが差さっているではないですか。

 

赤城山、なんかやばいのか?)心配になった私が縦走部のLINEにこの様子を書き込んだところ、まりちゃんから『大丈夫だよ、オーツカ君割とベテランぽく見えるから』と返ってきましたがなんの気休めにもなりません。アイミ君からは『みんなリュックの飾り、オブジェだよ』と返ってきました。それはアイミ君のワカンのことだろ!と突っ込む気にもなりません。

 

バスを待っている間に慣れた手つきでオーバーパンツを履いているおばさんが2,3人。ゲイターまで着け始めた人もいて、みんなバスに乗る前に準備万端てな感じに見えます。雪山をやるとはこういうことじゃ!と言われているような気がしてきて、『まずい、圧倒されてる…』とLINEに弱音を吐くことぐらいしかできない私でした。

 

8:45。1台にちょうど全員が座れるくらいの乗客を乗せてバスが出発しました。95%が登山者で、あとはクーラーボックスを抱えたワカサギ釣りの人のようです。ここから1時間ちょいの道のり。いつの間にか眠ってしまった私が目覚めたときには、バスは道路わきに雪が残る山道に差し掛かっていました。標高が上がるにつれ道はところどころ完全なアイスバーンになり、路肩でチェーンを巻く車も見かけます。バスは予定より10分以上遅れ、終点の赤城山ビジターセンターに着いたのが10:10でした。

f:id:arakabu625:20190123154657j:imageビジターセンター

 

「おっ♪」センターの裏手にソリ遊びができるスロープが見えました。これはちかちゃんに報告せねば。

f:id:arakabu625:20190124071157j:imageファミリーゲレンデ的な

 

◼️山頂へ

(さて、ここからどうしよう…)ビジターセンターには15人くらいの人がいて、出立の準備をしています。黒檜山登山口までは大沼沿いの道をしばらく歩くはずですが、アイゼンはここから装着していくのかどうかもまったく見当つきません。登山口がどっちの方向かもイマイチわからない。そんな私が取った作戦は、(とにかくビジターセンターを最後に出よう。それまでみんなの準備をよく観察して、みんなの後をついて行くしかない!)というものでした。前橋駅前でピッケルを差したベテラン登山者たちの先制パンチを食らって以来、かなりビビリ気味の私なのです。情けなや~。

 

周りの様子を伺いながら、ゆっくりゲイターを着けたり、ストックにスノーバスケットをねじ込んだりして時間を使います。グループごとに徐々にビジターセンターを出ていくのを盗み見しながら彼らの装備をチェック。さすがに誰もアイゼンは着けていません。最後に残った5人のグループがなかなか出発しないので、私は何やら意味ありげな顔をして、今日の行動食のいちご大福まで食べる羽目になってしまいました。

 

10時半過ぎ、ついに私は立ち上がりました。最後の5人が出てから30秒後、やっと私のアクティビティの開始です。さあ、離されないようにしっかり前についていこう!情けなや~。

 

半分アイスバーンになっているアスファルトの道の端を慎重に歩きました。先行グループとは50mほどの距離を保っています。時々ツルッと足を滑らせながら、大沼の湖畔までたどり着きました。

 

「わあっ!」大沼の凍りついた湖面で大勢の人たちがワカサギ釣りをしていました。百人はくだらない人数です。初めてみる光景に興奮する私。冬の遊び、こういう世界もあるんだなあ。

f:id:arakabu625:20190123203217j:image
f:id:arakabu625:20190123203315j:image

気が付いたら先行グループの姿を見失っていましたが、もう道を間違えようもないのでオタオタしません。赤城神社横を過ぎ、黒檜山登山口に到着。みんなここでアイゼンを装着していました。よし俺も、と北横岳用に買った10本爪軽アイゼンを着けます。引き続き、後ろについて行く負け犬作戦を取ろうと、アイゼンのベルトをチェックする振りをしながら前のグループの入山を待ったのですが、センターでの出発と同じくこの人たち準備が遅い。待ちかねた私は、もうここまで来たら大丈夫だろうと、先に山へ入りました。(ついに負け犬作戦返上!)11時ちょうどでした。

f:id:arakabu625:20190124073212j:image11:03 登り始めてすぐに、登山口を見下ろす

 

いよいよ初の雪山単独行が始まりました。頑張っていきましょう。雪は少な目ではありますが、問題ない量です。

f:id:arakabu625:20190124073635j:imageえっほ、えっほ

 

振り返ると、大沼がもうあんなに下に見えました。

f:id:arakabu625:20190124074628j:image11:38

 

途中で少し雪が減り、土が混ざったカフェオレ色の雪道になりましたが、高度が上がるにつれて再び雪深くなってきました。先週の北横岳と変わらないくらいの積雪量かなー。

f:id:arakabu625:20190124074436j:imageえっほ、えっほ

 

気温は北横岳ほど低くなさそうに感じます。暑くて、途中でフリースのベストを脱ぎましたが、まだ暑い。登山道は割りと傾斜が強くて、周囲の様子は奥多摩あたりの山道と変わりません。北横岳の樹林帯のほうが全然別世界感がありました。

 

12時14分、赤城山の最高峰・黒檜山(1,828m)山頂に到着です。

f:id:arakabu625:20190124080332j:image山頂の様子

 

山頂からさらに奥のほうに絶景スポットがあるらしいので足を延ばしてみましょう。

f:id:arakabu625:20190124081204j:image途中の稜線の様子

 

あいにくの曇り空なので写真映りは全然良くないですが、肉眼ではそこそこの絶景が広がっていました。

f:id:arakabu625:20190124081531j:image12:21

 

山岳ライターの高橋庄太郎さんが雑誌ピークスに、《山頂から見える百名山の数を全国で競ったら、一番に輝くのはこの黒檜山かもしれない》と書いていました。アイミ君がいたら『あれが○○山、これが○○岳』と教えてくれるでしょうか。来月の再訪時の好天を期待します。

 

黒檜山の山頂も絶景スポットもお茶さえ飲むことなく早々に引き揚げ、次の駒ヶ岳を目指しました。山頂は強い風が吹いていましたが理由はそれだけではありません。実は、少し前からおしっこが満タン気味になっていたのです。これだけ雪が積もっていると、登山道を外れて木の陰で用を足すこともできません。ズボッと足を踏み抜いて滑落でもしたら目も当てられない悲しい事件です。ウーン、この先ちょっと厳しいか?

 

稜線を急ぎ足で進むと鳥居が見えてきました。数人の人が休憩していましたが、写真だけ撮って通り過ぎます。(来月ちゃんと参拝しよう)

f:id:arakabu625:20190124182402j:image12:28

右に視線を移すと、凍結した火口湖の小沼が見えたので一枚だけカシャ📷。

f:id:arakabu625:20190124121750j:image12:28


続いて、《ここから60歩で絶景ポイント》という好奇心をそそる案内板に出くわしましたが、(来月寄ってみよう)とここもスルー。そして、登山道は次第に急傾斜の下りになってきました。下りきった先の大ダルミという鞍部を経て駒ヶ岳に登り返すのです。雪で足を滑らせないよう気を付けながら急いで下り、カーブの途中で休憩中の先行者二人を追い抜いて、さらにスピードアップ。ようやく広くて長い鞍部にたどり着きました。ここが大ダルミでしょう。

 

イメージして下さい。私は今とても大きなU字の鞍部の底に立っています。後ろを振り返ると今下ってきた黒檜山の斜面が見えます。途中で追い抜いた二人が米粒のように小さく白い雪の中に見えていました。前方にはこれから向かう駒ヶ岳の斜面が遠くに立ち上がっています。下ってきている人は見当たりません(というか、逆のルートからやって来る人はこの日一人もいませんでした)。そのとき、(今しかない、ここしかない)私の膀胱がそうささやいたのです…。

 

悔恨の重みをはるかに上回る体の軽さを得た私は、元気いっぱい駒ヶ岳への斜面を登りました。13時ジャスト、駒ヶ岳(1,685m)山頂到着。黒檜山の絶景スポットとは開けている方向が違いますが、私の目には今日一番の景色に映りました。気分的なものでしょうか?

f:id:arakabu625:20190124122907j:image13:03

 

自撮り写真を撮っていたら、スマホがまさかの強制シャットダウン。ガーン!北横岳でうまくいった裏面に使い捨てカイロを貼る対策を行なっていたのに…。温度計を見たらプラス2℃くらいでした。

f:id:arakabu625:20190124123103j:imageこの後シャットダウン。以降写真なし

 

眼下の景色を堪能しながら、山頂で立ったまま昼ごはんを食べました。今日はクリームパンとアンパンを温かい紅茶でいただきます。

「富士山が見えないのが残念ですね」

いつのまにか私の後ろにいた人に声をかけられ、「そうですねー」と今日初めて言葉を発しました。

 

◼️下山

この日一番の大休憩を終え、駒ヶ岳を後にしました。時計を見たら13時半。登り始めるまでに色々予定外の時間を使ったので、帰りに予定していたバス(15:15ビジターセンター発)には間に合わないかなと諦めていましたが、いつの間にか当初の計画通りにリカバリーしていたみたい。これでもう余裕です。時折見える大沼の景色を楽しみながら、ゆっくり下山しました。

 

駒ヶ岳から登山口に下る斜面は日当たりがいいのか、途中から土が露出していました。早々にアイゼンを外している先行者もいたのですが、私はそのまま進みます。案の定そのあと土の道と凍結した道が交互に現れて、結局登山口までアイゼンを外さずじまいでした。13時55分無事下山、スマホが死んでしまったので腕時計の時間を頭に刻み込む。

 

ビジターセンターに戻って装備を解き、バスの出発まで時間があるので、食堂で”あかぎ汁”なるだんご汁をいただきました。

f:id:arakabu625:20190124184431j:imageスマホ復活


今日一日着ていたソフトシェルを脱ぐと、シェルの内側に貼られている薄いブロックフリースの生地が全面じっとり濡れています(びっくり)。今日はアミアミ半袖(ミレー)+スーパーメリノウールMW(モンベル)+厚手ジップシャツ(フェニックス)+フリースベスト(モンベル)+裏地付きソフトシェル(マムート)というウェアリングで、登り始めてすぐフリースベストは脱ぎました。体感的にはこれで最後まで快適で汗冷えも感じなかったので、ベースレイヤーやミドルレイヤーがいい仕事をしてくれたと思っていいのでしょうか。それともこの結果は改善の余地ありなのでしょうか(誰か教えてください)。濡れたソフトシェルはリュックに押し込み、代わりにダウンパーカ―を羽織りました。

 

帰りのバスは15:15(乗り換え1回あり)と16:40(前橋駅まで直通)の2便だけです。15:15発のバス🚌に乗り、前橋駅発16:52の両毛線🚃を経由して、高崎駅発17:12の湘南新宿ライン🚃に乗ることができました。奥多摩や丹沢からの帰りの電車に比べると登山客はまばらで、すぐに一般客に紛れてしまいます。睡眠不足だった私はいつの間にか深い眠りに落ちました😪💤💤

 

こうして、初めての雪山単独行は無事に終わりました。最初は不安だらけで失態をさらしましたが、終わってみれば全部楽しい。またひとつ経験値が上がった気がして、満足のいく山旅でした。

 

山の神様ごめんなさい。

 

終わり

 

(おまけ)

f:id:arakabu625:20190124185311j:imageヤマノススメ

 

おしまい