'20年1月11日~12日 谷川岳で雪上訓練!

f:id:arakabu625:20200118211347j:image谷川岳で雪訓!)

⛰️先日、アイミ君と二人で一泊二日の雪山講習を受けてきました。雪山を始めたい方、森林限界を超える雪山にステップアップを考えている方、お勧めです!

 

■講習を受けよう

昨シーズンから雪山にも行くようになり、入門編として赤城山、北横岳(北八ヶ岳)、蓼科山(同)を縦走部で登りました。その間に保温材入りの冬靴をはじめ、12本爪アイゼンやピッケルを購入。ウェアやグローブなども雪山用のものを買い揃えて、準備を整えました。

 

しかし、夏山では見よう見まねで3,000m峰にも登ることができましたが、雪山はそうはいきません。これから森林限界を超えた雪山にチャレンジするためにはきちんとした訓練を受けたほうがいいだろうと思い、雪山講習会に参加することにしました。一人ではいまいち不安だったので、縦走部のアイミ君を誘って😅

 

結論としては、なかなかスパルタで実践的な講習内容とリーズナブルな費用、そして信頼のおける講師のもとで有意義な二日間を過ごすことができました。

 

それでは、以下報告させていただきます。ただし、講習中は写真を撮ることもままならなかったため、今回は画像が少なめですがご容赦のほど。

 

■講習内容

○場所:谷川岳、天神平スキー場脇

※元々は新潟のかぐらスキー場で開催予定でしたが、雪不足のため場所が変更になりました。

○スケジュール:

1/11(土) 新宿駅7:00集合、マイクロバスにて移動し、午後から講習。夜は各自で雪洞泊。

1/12(日) 午前中いっぱい講習。マイクロバスにて移動、17:00新宿駅着。解散。

○講習メニュー:

・雪山歩行技術
・初動停止技術
・滑落停止技術
・耐風姿勢技術
・雪洞泊

○費用:27,500円(税込)

○参加人数:10名

 

■一日目

・雪山歩行技術

まず最初にアイゼンの装着方法について指導を受けました。ポイントは緩みの出ないアイゼンのサイズ調整です。ワンタッチ、もしくはセミワンタッチが前提の説明でしたが、靴のソールよりも少し短めにしたアイゼンの前足側を決めたあと、後ろ側をビンディングで『ギューッ、バチン!』とぎちぎちに締め込む指導がなされました。

 

講師は私たちの装着状況をチェックしては妥協なくダメ出しします。みんな平均2回はつけ直しを命じられたのではないでしょうか。アイミ君も何度かやり直してました。一発合格は多分私だけ(エッヘン!)。私のワンタッチアイゼンは、カモシカスポーツ高田馬場店で冬靴と一緒に買ったときに店長がフィッティングしてくれたものです(さすが!)。

f:id:arakabu625:20200118204139j:image(青いジャケットが講師。みんなアイゼン装着に苦労中。ただ一人余裕の私)

 

次は、アイゼンを外しての雪上歩行トレーニングです。靴底全体でフラットに雪面を踏む練習や、キックステップで斜面にフラットな足場を作りながら登る練習を谷川岳の登山道を使って繰り返しました。

 

後ろ足に重心を残したまま前足のステップを踏み、重心を移していく歩き方は興味深かったです。これは雪のない登山道でも重要なスキルで、例えばいきなり前足に重心を移せば浮き石などに足をとられかねない。雪の登山道であればスリップして転倒するリスクが増します。ですから、まだ後ろ足に重心があるうちに、踏み出した足の置き場が大丈夫か探るのです。特に下りでは重要になるスキルですね、夏道でも雪道でも。

 

また、不思議なことにフカフカの雪面を漫然と踏めばズボズボと膝上まで埋まるのに、重心を移しきる前に前足でフラットな足場を作る感覚でクックッと踏んでから静かに重心を移すとあまり埋まらないのです(表現が難しい)。ちょっと気を抜くとすぐにズボッといきますけど。

f:id:arakabu625:20200118234643j:image(左手にスキー場のコースがある)

 

・雪洞作り、雪洞泊

確か15時くらいから雪洞作りの講習が始まったと思います。スキー場や登山道から離れて、雪深い林の斜面に入っていきました。本来なら2m以上の積雪量が欲しいところらしいのですが、講師がプローブという細い棒で測ったところ1.8mほどの深さで、なんとかいけるだろうとのこと。スノーショベルで雪の斜面の堀り方を実演してくれました。

 

一通りのやり方を教わったら、みんな思い思いの場所に散らばって自分の雪洞掘りに取りかかります。私は場所を移動するのも面倒だったので、講師が掘ったところのすぐ隣で自分の雪洞を掘り始めました。アイミ君は私の上方30mほど登ったところで掘っているみたいです。

f:id:arakabu625:20200119000910j:image(アイミ君が小さく見えています)

 

まずは雪の斜面を眺めて、雪洞全体の設計図をイメージします。イメージが出来上がったら、出入り口の位置を決めて掘り下げます。そのあと奥へ掘り進めますが、天井の雪の厚みは50cm、最低でも30cmは取りたいところ。寝ている間に天井が落ちてきたら悲惨なことになりますので。

 

掘るときは雪のブロックを切り取るようにすると運び出しが楽です。ある程度奥まで掘り進んだら、今度は左右に横穴を掘って寝るスペースを作ります。

f:id:arakabu625:20200119143151j:image(雪の中から笹や木の枝が現れた)

 

掘っていると、雪の中から笹藪と木の枝が現れて行く手を阻み出しました。本来なら場所を移動して新たに掘ったほうが良かったのかも知れませんが、もう疲れてそんな気力も沸きません。(横になれたらそれでいいや)と笹と木の枝だらけの、天井の低い雪洞が出来上がりました。

f:id:arakabu625:20200119144131j:image(雪の上にマット、その上にシュラフを広げる)

f:id:arakabu625:20200119144246j:image(天井には木の枝が)

 

正直なところ、今回の雪洞作りはダントツで不合格だったんじゃないかと思います。寝ても天井が低くて上体が起こせないので、辛いったらありゃしない。手探りでリュックからダウンを取り出しても着ることができず、ジャケットの中に押し込んで体に被せました。寒いし疲れていたし、また雪洞から外に出てダウンを着込む気にはなれなかったのです。

f:id:arakabu625:20200119145423j:image(出入り口をツェルトでふさぐ。もう夜になった)

f:id:arakabu625:20200119145534j:image(雪洞の中。凍死寸前)

f:id:arakabu625:20200119185359j:image(後で知ったアイミ君の雪洞。広い!)

 

19時頃には活動を停止(心肺停止ではない)。シュラフにくるまり、ヘルメットを枕にして就寝態勢を取りました。しかし、すぐに冷気が襲ってきて眠れたものではありません。上半身と足元が特に冷えます。ダウンパンツを足元まで下げて足をくるみ、上半身の寒さはひたすら耐えました。確か今夜は満月だったなー、なんて考えながら。

 

うつらうつらしながら、日付が変わる頃になってフリースのバラクラバがあったことを思い出し、被りました。また、手はインナーグローブだけで寝ていたことにも気付き、枕元にあった厚手のウールグローブとアウターグローブを着けたら、ようやく上半身の寒さも治まってきて少し眠れたような気がします。

 

この日の夜の外気温はマイナス10℃だったと後で講師から聞きました。テントだとほぼ外気温と同じくらいまで下がるらしいのですが、雪洞のなかは0℃前後で安定しているとのこと。私の雪洞は実際はどれくらいの室温だったのでしょう。温度を確認する気力は残ってなかったのでわかりません。

 

まだ真っ暗な5時前に雪洞から這い出して、命のあることを山の神様に感謝しました😅

 

■二日目

7時。集合場所で再び全員が顔を会わせました。講師の「昨日寒くて眠れなかった人は?」との問いに手を挙げたのは私ともう一人だけ。アイミ君は手を挙げていません。なんだ、結構みんな眠れてたんだな~。

 

・初動停止技術

雪山歩行ではまず転ばないこと。これが一番重要です。そのためにピッケルやストックでバランスを取り、アイゼンを着けて慎重に歩きます。そして、万が一転んだときに必要な技術が【初動停止技術】です。

 

ピックを前にして持つダガーポジションで登りながら前に転んだ場合や、ブレードを前にしたケインポジションで下りながら仰向けに転んだ場合とうつ伏せに転んだ場合。それぞれのパターンを登山道を登り下りしながら何度も繰り返しました。

 

二人一組になって片足をスリングで結び、一人が後ろからそのスリングを持って一緒に歩きます。そして、後ろの人がそのスリングを思いっきり引っ張って前の人を転ばせるという実践的なトレーニングも行いました。

f:id:arakabu625:20200119163422j:image(こんな風に足を引っ張る)

 

・滑落停止技術

雪山での死亡事故原因のダントツ一番が【滑落】とのことです。次が病気で、三番目が低体温症。この三つで雪山死亡原因の90%以上を占めるのだとか。

 

運悪く斜面で転び、初動停止もできなければ即滑落です。この、滑落を停止するトレーニングも今回の研修では割りとハードでした。何がハードかと言いますと、ソリを使って滑り降りるのです(普通は尻餅ついて滑るだけです)。これ、かなりスピード出るんですよね。

 

スピードに乗ったタイミングで講師が「いちにさん、ハイ!」と声をかけると、ソリから反転して雪面にピックを突き刺して止まるのですが、結構スリルがありました。体が吹っ飛ぶ感じのスピードで雪の斜面に身を投げ出すのですから、簡単には止まってくれません。私はピックを雪面に刺す瞬間にブレードが鎖骨に当たって怪我をしそうになったほどです。しかしこれも、より実践的なトレーニングと言っていいでしょう。

 

・耐風姿勢技術

森林限界を超えた冬山の稜線は、風速30mを超す突風が吹き付けることもざらにあります。体が吹き飛ばされて、滑落による重大事故につながらないよう、ピッケルを使った耐風姿勢をとる練習も行いました。

 

これも二人一組になって、耐風姿勢を取っている相手を横から突き飛ばすのですが、この頃にはもうヘトヘトになっていて、力が入りませんでした。

 

・雪崩遭難の捜索

最後にビーコンを使った捜索方法を教えてもらいました。ビーコンはパーティーの全員が持たないと意味がありません。ビーコンだけでなく、プローブ(遭難者を見つけ出す細長い棒)とスノーショベルも必要です。高価な装備ですし、ビーコンが必要となるような雪山には入らないようにする事くらいしか、今の私には考えられないかな。

 

■雪訓終了!

こうして、二日目の午前中一杯で、雪上訓練は無事に終了しました。なかなかいい経験ができたと思います。有意義な講習でした。

 

雪山シーズンの初めには毎年こういった訓練を繰り返すことが大切だと講師の先生も言っていましたが、きっとその通りなのでしょう。あとは、実際の雪山山行で今回覚えたスキルを使い、体に覚え込ませることが大事なのだと思います。

 

来月予定している八ヶ岳では、ちかまりの二人に今回覚えたことを少しでも教えてあげられたらいいなと思っていますので、よろしくね~ちかちゃんまりちゃん。

 

■終わりに

そういえば、大事なことを報告し忘れていました。それは、講習が終わって、みんなが帰り支度をしていたときのことです。私の背後で、今回の受講生のなかで唯一の女性が「ふぅ、なんで山の帰りの荷物はこんなに増えて重くなるのかしら」と嘆いていました。すると、アイミ君がすかさず言ったのです。いつもよりちょっとカッコいい声で。

 

「それはきっと、

 想い出が増えたからじゃないですか?」

 

!Σ( ̄□ ̄;)

ああ、山の神様、ごめんなさい…

 

(終わり)

 

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