'18年11月17日~18日 奥秩父 金峰山でご来光!
(夜明け直前の金峰山山頂にて)
⛰️秋も深まる11月中旬の土日を使い、縦走部で奥秩父の金峰山に行ってきました。
実は、縦走部の山行では6月に行った雨の八ヶ岳からずっと天気に恵まれていません。すっきり晴れたのは、7月末の北アルプスの初日だけ。このときも翌日は台風の直撃を受けてさんざんな目に遭いました。今はもう11月ですから、どんだけ天気運悪いんだ。
さてさて、今回はどうなったでしょうか。よろしければ、ご一読のほどよろしくお願いします。
■奥秩父主脈縦走路
縦走部の今回のターゲットは奥秩父の金峰山。このあたりの山域は奥秩父山塊とも奥秩父連峰とも呼ばれ、俺たちのような素人には日本アルプスや八ヶ岳などと比べると少し地味な印象があるが、本当はアルプスや八ヶ岳に負けず劣らず名峰揃いの山域だ。
主脈は東端の雲取山から続く《奥秩父主脈縦走路》に沿って甲武信ヶ岳や金峰山、瑞牆山などの日本百名山が名を連ねる。これまで単独で登った両神山や乾徳山も、主脈からは外れるがこの山域に属する秀峰だ。なんだかちょっと硬派で武骨なイメージの山が多いと感じるのは俺だけか。
そして、もうひとつ。この《奥秩父主脈縦走路》という言葉が俺を惹き付けてやまない。一般的には今回の金峰山から雲取山まで、奥深い山の中で3泊から4泊を費やす山旅コースのことを言う。俺にとっては、北アルプスの表銀座縦走コースなどとはまた一味違う、異質の魅力にあふれた山旅を連想させてくれるのだ。
■一日目(山頂へ)
前置きが長くなったが、今回のメンバーはちかちゃん・まりちゃん・アイミ君・俺のいつもの4名。土曜日の早朝に新宿駅近くで待ち合わせ、6時半に俺の車で出発した。途中、一回の休憩をはさんで9時過ぎに瑞牆山荘前の無料駐車場に到着。準備を済ませ、9時半に《奥秩父主脈縦走路》の玄関口をスタートしたのだった。
9:19
緩やかな傾斜の林道を四人でゆっくり歩く。道はクヌギやナラなどの落ち葉ですっかり覆われていた。30分ほどで山の入り口に差し掛かったが、ここまで来て初めて瑞牆山荘からの近道があったことに気が付いた。
林道の向こうに近道の階段が
登山道に入って10分ほどで視界が急に開けたと思ったら、目の前に突然現れた瑞牆山。
ド~ン!
白い岩だらけのその異様な姿に一同「おお〜っ、すごい!」と思わず声が出た。さすが奥秩父の名峰群の一角を担う山、さすが日本百名山だ。いつか必ず登りたい山の一つとして心にメモった。
1時間かからずに富士見平小屋に到着。ここで金峰山方面と瑞牆山方面に道は分かれていく。
10:26
山小屋前にはテント場が点在していた。100張りくらい張れるそうだから、カラマツ林の奥のほうまでテント場は広がっているんだろう。誰もトイレに寄らず、そのまま通過した。
登山道に入ってから、いい感じの青空がずっと続いている。週間天気予報ではずっと傘マーク☂️が取れなかったので雨の登山を覚悟していたが、昨日急に☂️マークが消えた。果たしてこの天気いつまでもつのやら…。
いい天気だ
遠くに南アルプスが見える
大日小屋(無人の避難小屋)でトイレを使い、先へ向かう。大日岩という大きな岩山の下に着いたのがお昼前。岩の真下で敷物を広げ、昼休憩を取ることにした。ここまで小休止も含めて2時間半、予定通りのペースだ。
今日のメニューは、
山梨名物、ほうとう
山で使う用に手挽きのコーヒーミルを買ったアイミ君が、一生懸命四人分の豆を挽いている。「結構時間がかかるんだよねー」というので、二人分の豆が挽けたところでコーヒータイムに移った。
着々と山道具が増えるアイミ君
美味しい昼ごはんとコーヒーをいただいて、再び歩き始める。登山道はいつしか岩だらけになってきた。高度が上がるほどに一個一個の岩が大きくなってきて、両手を使わないと上れないほどだ。大きな一枚岩を登る鎖場も何ヵ所か出てきた。表面の滑らかな岩が多くて、雨で濡れていたらさぞ大変だったろうと思わせる。
登山道に岩が増えてきた
鎖場も(これは下山時)
お昼休憩をした大日岩から40分ほどで《砂払いの頭》という場所に着いた。森林限界が近付いたのか、一気に眺望が開ける。凄い景色が広がっていた。
砂払いの頭にて。アイミ君と俺
八ヶ岳だ!
南アルプスだ!
富士山だ!!
アイミ君だ~!!!
砂払いの頭から岩だらけの稜線をもう少し登ったところで、ついに金峰山が我々の前にその姿を現した。岩の稜線が続くその先に小さく五丈石、そして金峰山の山頂が見える。個人的には今日一番の景色だった。
ついにここまで来た
その後も岩稜帯が続く
五丈石を目指し、山頂を目指し、岩を登る。岩を越える。五丈石がどんどん近づいてくる、どんどん大きくなってくる。
岩を登る
あと少し
15時42分、巨大な岩のモニュメント、五丈石のそびえる金峰山の山頂直下に到着した。
ででーん
五丈石に取りついて、どこまで登れるかなーとか、やっぱりでっかいなーとか、本当は五丈石といろいろ遊びたかったのだが、俺たちにはもう時間がなくなってきていた。16時までには山小屋に到着するようにしてくださいと、今日泊まる金峰山小屋の人に言われていたからだ。
というわけで、そそくさと五丈石を後にして、目の前の金峰山山頂へ向かう。
おっと、その前にカシャッ
ほどなくして、俺たちは金峰山(2,599m)の山頂を無事に踏んだ。他に誰もいない、静かな山頂だった。そして、これが迎珍縦走部としては7峰目の日本百名山踏破ということになる。時刻は15時50分、瑞牆山荘前を出発してから6時間20分のロングトレイルだった。
少し雲が出てきた
いかん、早くしないと山小屋の人が心配するぞ、急いで下山だ~!金峰山小屋へ、標高差140mを急いで駆け降りた。
金峰山小屋は山頂の北側、標高2,440m地点に建っている収容人数50人ほどの山小屋だ。夕食に付いてくるワインや、朝のお粥などの特色ある食事が評判らしい。
これは翌朝
そのワインと、まりちゃんが持ってきたワイン専用プラティパスに充填されたワインでそこそこに酔った俺たちは、20時頃にはそれぞれの布団に潜り込んだのだった。
夕日に沈む八ヶ岳
■二日目(ご来光、そして下山)
翌朝は山頂でご来光を拝むために山小屋を5時半に出発した。日の出予定時刻は6時13分。日の出を見るために暗い山道をヘッドライトの明かりを頼りに登るパターンは、縦走部としても個人的にも初めての体験だ。途中、ルートを間違えて五丈石のほうへ行きかけたが、ちかちゃんが標識に気付いて事なきを得た。
朝日は見れるだろうか、前夜から今朝にかけての予報は曇りになっていた。山頂が近づくにつれて徐々に明るくなってきたが、ヘッドライトを消すほどの明るさはまだない。登山道の岩の表面は夜露が凍りついていて危ない。回りの低木はみんな1cm幅くらいの氷が貼り付いていた。今年3月の丹沢山以来の樹氷だ。
5時57分、山頂。まだ辺りは薄暗い。誰かのヘッドライトが見える
しらみ始めた空は残念ながらガスに覆われているようだ。ガスは西から東に早い速度で流れている。徐々に明るくなってきた視界の先で、ガスの切れ目に富士山が見えた。「富士山だ!」みんな一斉におおーっと小さな歓声をあげる。
次第に東の空のほうからオレンジ色が広がってきた。ガスも消えて、今はくっきりと富士山が見える。ああ、ここまで来て本当によかった。きっとみんなも同じ気持ちだったに違いない。
さあ、日の出はまだか。
しかし、気まぐれなガスはすぐにまた何もかもを隠してしまう。相変わらず勢いよく右から左に流れていくガスの次の切れ間を、寒さに凍えながら息を殺して待った。すると、またガスが途切れ、東の空の雲海の向こうがますます明るくなってきた。
凍えながら待つ
もう少し
再びガスに覆われ始めたその時、ついに朝日が顔を出した。
昇りきった丸い太陽をガスの空の中に見定めたところで、下山を開始する。凍てついた金峰山の標柱も朝日を浴びてほんのりオレンジ色に染まっていた。
山小屋に戻ってお粥の朝ごはんをいただき、体を温める。朝ごはんはこれくらいの軽さでちょうどいいよね、とちかちゃん。俺も同感だ。
ストーブで暖められた小屋の窓から外を眺めると、木々に氷が貼り付き、とっても寒そうだ。この中を下山していくんだなー。
7時50分、装備を整えて金峰山小屋をあとにする。
山頂と五丈石をスキップするルートが山小屋から延びていたので、迷わずそちらを選んだ。ゴールの瑞牆山荘まではコースタイムで3時間半ほど。昨日の登りを思い出しながら、各ポイントを順調に通過した。瑞牆山に一瞥もくれず通り過ぎたら、後ろからアイミ君が「登りのときはあんなに感動してたのに、冷たい奴だ」と言うので、苦笑いしながら戻って記念撮影😅おかげで瑞牆山にもきちんと挨拶ができたかな。
やっぱりド迫力の山だ
途中の休憩も含み、ほぼコースタイム通りの11時半に無事下山。こうして、縦走部初の奥秩父の山旅が終わった。
11:35
帰りに寄った《増富の湯》で、お約束の
「カンパーイ!」
俺とアイミ君はお茶です
個人的には、以前から気になっていた《奥秩父主脈縦走路》を、ほんのさわりの部分ではあるが歩くことができて嬉しかった。いつか、あの金峰山山頂から先の山に深く分け入って、奥秩父の山をもっと味わってみたい。
それと、今回は久しぶりに好天の中で山登りができた(満点じゃなかったけど)。やっぱり、山登りの楽しさは90%くらい天気が占めるのかもな、と感じた金峰山だった。
次も晴れますように。
終わり
(おまけ)
山バッジ
アイミ君57歳の誕生日ケーキ byちか&まり
山頂にて「うぉー!」
おしまい