私の山道具選び②グレゴリースタウト35L
(グレゴリー社HPより)
⛰️現在の私の日帰り〜山小屋泊り用のリュックはグレゴリー社のスタウト35L(2017年モデル)です。カリマー社のリッジ30Lの次に購入した、二代目です。今回はこのスタウトについてお話をしてみたいと思います。
(スタウトと笠取山へ)
気に入っていたはずのリッジでしたが、徐々に背面長サイズからくる(と思われる)肩や背中の違和感を感じ始め、いつしか我慢できないほどのストレスになってきました。で、次のリュックとして目を付けたのがグレゴリーのスタウトとズール(どちらも35L)です。同社のバルトロ(65L)でその肩から背中にかけての密着感を体験していたので、小容量もグレゴリーなら間違いないんじゃないかと考えたのです。
■背負ってみた(スタウト)
さっそく会社帰りに専門店に寄ってスタウトを担いでみました。まず全部のベルトを緩めます。そしてウェストベルトを適正位置でギュッ。次にショルダーベルトをシュッ、シュッ。チェストベルトを適正位置でパチン。うん、まずまずのフィット感です。最後にショルダーベルトの上にあるベルトをクイ〜ッと引いて本体を体に寄せた瞬間のことは今でも覚えています。まるでリュックに背中からぎゅーっと抱きつかれたような感触を覚えてびっくりしました。
「うわっ、なにこれ?」
これが体にフィットした状態というのでしょうか。バルトロを初めて担いだときに感じたフィット感も衝撃的なものでしたが、バルトロの時はなんというか全体的に少しごつごつ感があったように思います。ガッシリ抱きつかれた感じとでも言えば良いのか。それに比べてこのスタウトのソフトな密着感はなんでしょう。背中から抱きつかれたあとに、背中に頬擦りされているような優しさを感じます(ちょっと大げさ?)。背面システムの違いに因るのでしょうが、とにかく初めて経験する感覚でした。
(スタウトと鍋と高水三山へ)
■背負ってみた(ズール)
スタウトの次にズールも担いでみました。ズールとスタウトの最も大きな違いはやはり背面のシステムです。ズールの背面はドイターのフーチュラのようにピンと張ったネットになっていて、背中とリュック本体の間にすき間ができています。背中の蒸れ防止ですね。登山というのは相当汗をかきます。登山ウェアはその汗をどうやって吸収して外に出すか、乾かすか、どうやって汗冷えを起さないようにするかに知恵を絞って値段が高くなっていると言っても過言ではないくらい、「汗」対策は重要な要素です。その背中の汗蒸れ対策が取られているのがズールでした。ただその分冬は風が通って冷えるなんていう話もブログには散見されますが、実際のところは分かりません。
そのズールを担ぎました。最後にショルダーベルトの上のベルトをグイッと引っ張りますが、スタウトの時におぼえた感動もののフィット感を感じません。背中のネットが私の背中にしっかり密着しているのですが、それは私が新しいリュックに求めている「背中の感じ」ではないと思いました。私が求めていたのは、背中から腰回り全部でリュックの重さを感じ受け止めるフィット感だったのです。私にはスタウトの抱きつかれ感のほうが勝っていました。
(安曇野、しゃくなげの湯にて)
■スタウト購入&使用感
メルカリで無事にリッジの里親が決まり、メルカリ便で発送した次の日、私はスタウト35Lを購入しました。
以下は購入後のインプレッションです。
①やっぱりフィット感がいい
背面の様子です。
ズールのような構造ではありませんが、背面全面がネットで被われ、内部は通気性の良さそうな感じにクッションが付いています。ここが担いだときに背中に柔らかく密着してフィットします。
そして、なによりも私がこのスタウトで一番気に入っている点は、背面長が可変だというところです。リッジは背面長のサイズによって3タイプがラインナップされていましたが、スタウトは可変なのでワンサイズとなっています。S~M~Lサイズの表示に合わせて裏側のベルクロをひっぺがし、自由に背面長を変えることができるのです。
見えている赤い線はSとMとその中間の線
『人の背面長はコロコロ変わらないから、可変である必要はないじゃないか。メーカー側の都合の為だろ?』という声が聞こえてきそうですね。確かにそうなのですが、私はリッジを背負ってきて気付いたことがあるんです。それは、リュックのフィット感や体への最適な荷重のかかり方は、メジャーで計った自分の背面長サイズだけでは決めつけられないということです。胴長短足の私の背面長は50~51cm位なのですが、腰の上でリュックの荷重を感じたい私は少し短めの46cm(だいたいMサイズ)位がジャストフィットなんだということが最近ようやくわかってきました。これは、スタウトに実際に荷物を満載にして登山道を登りながら導き出した私だけのフィット感です。スタウトの背面長が可変だったからこそできたことだと思っています。
次にウェストベルトです。
ちょっとヘナヘナしてます。
バルトロやリッジなどのようなプラスチックのプレートによる剛性感は全くありません。スタウトのモデルチェンジ前はこのベルトがとてもしっかりしていたらしく、新モデルはいまいちだという記事を見つけました。賛否がありそうですが、私はバルトロのウェストベルトで腰の部分を擦りむいた経験があったので、これくらいの頼りない方が腰回りにしっかり巻き付くからいいかもねと思って購入に踏み切りましたが、まだどっちが良いのか私の中で結論は出ていません。
②ファースト&ライト
スタウトの新モデルは、ウェストベルトの作りにも表れているように、剛性感よりも軽快感を重視した作りになっています。重さも1.13kgと驚く軽さです。耐荷重は16kgとなっていましたので、日帰りや山小屋泊には十分でしょう。しかし、この軽快感を前面に出した今回のモデルはこれまでのグレゴリー愛好家にはいまいち受け入れがたいものだったようで、ネットでも否定的な意見が多く見られます。私?私は30Lクラスはこの程度で充分じゃないかと感じています。柔らかく背中にフィットする感じはとてもお気に入りですし、そもそもウェストベルトがガッシリしてると電車移動のとき広がってしまって邪魔なんですよね。今のスタウトはこんな感じでスマートになるので楽なんです。
横に広がるウェストベルトを反対側に巻き付けると
ほら、こんな風にスッキリ!
これで電車の中でも邪魔になりません。
テント泊装備満載の大型リュックには、フレーム構造のしっかりした作りと、剛性の高いウェストベルトが求められると思いますが、30Lクラスはこれくらいでちょうどいいのではと感じています。(スタウトにも背中側に硬いフレームが入ってます)
ということで、軽すぎない軽いリュックをお探しのかたは一度ご検討いただく価値があるのではないかと。
私の日帰り&山小屋泊用リュックのご紹介でした。
(スタウトと北アルプスへ)
終わり